研究課題
基盤研究(B)
本研究では、DNAチップおよび半定量的Reverse Transcription-Polymerase Chain Reaction(RT-PCR)法を用い、咬合性外傷の発生メカニズムと診断マーカーの解析をin vitroおよびin vivoにおいて計画した。その結果、in vitro咬合性外傷モデルにおいて、メカニカルストレス付与によりヒト歯根膜細胞(HPDL)におけるCox2、c-fos、Integrin-β1、βactinおよびAdenosine deaminaseの遺伝子発現上昇が認められた。一方、歯根膜特異的遺伝子PLAP-1(periodontal ligament associated protein-1)およびPeriostin遺伝子は、メカニカルストレスによって、その発現に変化が認められないことが明らかとなった。また、咬合性外傷が認められる部位と咬合調整により咬合性外傷の軽減を図った部位からニードルバイオプシー法を用いて微量歯肉組織片を採取し、歯肉組織中の各種生体応答因子のmRNA発現量をRT-PCR法を用いて測定した。その結果、咬合調整を実施せず咬合性外傷が持続している部位では今回検出を行った炎症関連因子のmRNA発現量は変化しないかあるいは漸増する傾向が認められたのに対し、咬合調整を行い咬合性外傷の軽減を図った部位ではIL-1β、IL-6、IL-8、Cox2などのmRNAの発現量が減少し、IFNγのmRNA発現が上昇する傾向が認められた。以上の結果から、HPDLにメカニカルストレスを付与した場合、Cox2やc-fosなどの炎症反応や骨破壊に関与する遺伝子発現が上昇していることが確認され、さらに、IL-1βやCox2などの炎症関連因子が肉眼的所見としては把握し得ない咬合性外傷の診断マーカーになり得る可能性が示唆された。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
Journal of Dental Research 85・5
ページ: 447-451