研究課題/領域番号 |
15390647
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
歯周治療系歯学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河口 浩之 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (10224750)
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研究分担者 |
栗原 英見 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40161765)
高田 隆 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10154783)
水野 智仁 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60325181)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | 骨髄間葉系幹細胞 / 歯周組織再生 / 再生医療 / アテロコラーゲン / オステオポンチン / green fluorescent / 前臨床試験 / 歯周組織欠損 |
研究概要 |
本研究は、歯周病で破壊された歯周組織欠損部に骨髄間葉系幹細胞(MSC)を移植して歯周組織を再生させるという新たな治療法を開発することを目的とし、その前臨床試験である動物実験を行い、以下の結果を得た。 (1)ビーグル犬のIII級根分岐部外科的歯周組織欠損モデルで、移植するMSCをgreen fluorescent protein(GFP)を導入し、移植後の動態を検索した結果、移植後4週で再生したセメント質表面に配列しているセメント芽細胞、再生骨表面に配列した骨芽細胞、再生骨内の骨細胞、再生歯周靱帯線維芽細胞などの歯周組織構成細胞が、GFP陽性を示した。 (2)III級根分岐部外科的歯周組織欠損にアルジネート印象剤を入れ、慢性炎症を惹起させた歯周組織欠損モデルでは、移植後2wのMSC移植群では、コントロール(MSC非移植群)と同様、明かな歯周組織の再生は認められなかった。しかし、根表面はコントロール群で上皮の侵入が認められるのに対し、MSC群は、上皮の侵入は観察されず幼弱な結合組織が充満していた。また、MSC群では、裸出歯根表面の多くはオステオポンチンに陽性を示した。移植後4,8週と経過するに連れて、MSC群では歯槽骨の再生が進んでくるが、根面との間には、シャーピー線維を伴う歯周靱帯が介在していた。一方、コントロール群では、上皮の侵入のため、分岐部直下は炎症が持続しており歯周組織再生は認められなかった。 (3)MSCを1年凍結し、移植した場合の組織学的結果は、凍結せずに移植したMSCの場合と同等の歯周組織再生が認められた。 本研究で、現在の再生医療では比較的難しい3級根分岐部病変にMSCを医療用アテロコラーゲンと混和し、歯周外科時に歯周組織欠損部に移植する治療法の有用性が前臨床試験として示された。さらに凍結細胞の歯周組織再生への有効性が示されたことから、MSCをバンク化し、必要なときに再度利用するシステムを構築する有用性が示された。
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