研究課題/領域番号 |
15390649
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
宮崎 秀夫 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00157629)
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研究分担者 |
葭原 明弘 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50201033)
花田 信弘 国立保健医療科学院, 口腔保健部, 部長(研究職) (70180916)
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キーワード | ミュータンスレンサ球菌 / 齲蝕 / リスク診断 / グルカン合成能 |
研究概要 |
ミュータンスレンサ球菌群のうち、ヒト口腔から比較的多く分離される菌としてはStreptococcus mutansやStreptococcus sobrinusがある。これらの菌が有する齲蝕原性の一つとして、非水溶性グルカン(WIG)を合成し歯面上に固着する能力が挙げられる。 小学生を被験者として刺激唾液を採取し、また歯科検診を行いDFT所見を得た。唾液から分離したミュータンスレンサ球菌株を1%Sucrose添加Heart Infusion brothに接種、培養し、産生したグルカン量を測定することで、グルカン合成能を調べた。また1年後、歯科検診を行い、1年間の齲蝕増加歯数を計算した。 43名の被験者中、39名から計51株のミュータンスレンサ球菌が検出された。ミュータンスレンサ球菌非検出群とWIG合成能の低いミュータンスレンサ球菌株保菌群(低WIG MS保菌群)、WIG合成能の高いミュータンスレンサ球菌株保菌群(高WIG MS保菌群)の3群に分けて、齲蝕経験および1年後の齲蝕増加を比較した。 その結果、WIG合成能の高い菌株と低い菌株を区別するためのcut-off値を150,200とした時に、高WIG MS保菌群の平均DFTが他の2群に比べ高い値を示したが、この差は有意ではなかった。またWIG合成能のcut-off値を200とした時、高WIG MS保菌群の齲蝕増加歯数がMS非検出群に比べ有意に高い値を示し(p<0.05)、低WIG MS保菌群に比べ高い傾向を示した(p<0.1)。 以上の結果から、WIG合成能がどの程度以上のミュータンスレンサ球菌株を保有すると、齲蝕の発生に影響がみられるかという基準が明らかとなった。今後、これらWIG合成能の高いミュータンスレンサ球菌株に特有な遺伝子型について検討し、菌の存在を容易に判定できる検査法を開発する予定である。
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