研究分担者 |
吉田 治志 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (40166963)
林田 秀明 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (20238140)
川崎 浩二 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (60161303)
久保田 一見 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30240914)
久保 至誠 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (80145268)
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研究概要 |
長崎県下の79市町村における一定期間の健診受診者ならびに抽出した施設内における児童の健診結果から、1歳6か月児1,210人、3歳児1,238人および保育園1,232人、幼稚園1,983人、小学校3年3,094人、小学校6年3,266人の児童について、地域間格差の実情、口腔保健と生活習慣などの関連について調査を行った。また基本健康診査を集団方式で実施している離島の3町において成人歯科健診を実施し、受診者843人について結果を分析した。 保健所管内別の一人平均未処置歯とう歯数は、1歳6か月児についてはともに最小0.09本と最大0.43本の格差、3歳児においては、それぞれ1.41本と3.84本、1.54本と4.29本、幼稚園児では、0.97本と4.39本2.72本と6.78本、小学3年児童では1.08本と2.38本、4.79本と6.49本、小学6年児童では0.62本と1.36本、2.78本と3.87本、という格差がみられた。格差の背景については分析中であるが、3歳児については、性別(女子)、第何子か、主な養育者(祖母、祖父、父親)、近くに歯科医院の有無、甘い物を与え始めた時期、ほ乳瓶類をやめた時期、保護者による歯磨き、定期管理などのかかりつけ歯科医の有無、専門家(歯科医師・歯科衛生士)による指導経験有無、フッ素塗布の経験などが口腔所見に関連していた。 離島成人歯科健診結果からは、いずれの年齢区分においても4割前後が未処置の齲蝕を有し、約7割の受診者が進行した歯周炎を有している、65歳以上の3割強が義歯を必要としつつ義歯を使用していない、40-64歳において44%が「食べたものが歯のあいだにつまる」、25%が「歯ぐきから出血する」などの自覚症状を有している、「イライラした」「電話で話しにくい」「会話笑いにためらい」「食べられない」「おいしくない」「口元が気になる」「会合や面会を避ける」「家族に迷惑」など、歯が原因で不快な思いをしたことのある人の割合は、歯の数が少ない者ほど多くなる、歯科に「定期的にかかっていた」者、「歯の手入れについて専門家の指導を受けた」ことがある者に現存歯数が多く、「ほとんどかかっていない」者ではすべての歯を喪失した者の割合が多い、一日の歯磨きの頻度が多いほど現存歯数が多い、など、離島における歯科疾患有病状況は高く、口腔保健の実情が食生活のみならず、日常生活に影響をあたえていることが、明らかとなった。
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