研究課題/領域番号 |
15390655
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会系歯学
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
高田 豊 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40163208)
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研究分担者 |
安細 敏弘 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (80244789)
粟野 秀慈 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (20301442)
秋房 住郎 九州歯科大学, 歯学部, 特別研修員 (40295861)
福原 正代 九州歯科大学, 歯学部, 特別研修員 (90360057)
園木 一男 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (50316155)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | 高齢者 / 8020 / 咀嚼 / 全身 / 死亡率 / ADL / 疫学 / 歯 |
研究概要 |
福岡県内9市町村に在住する、平成10年に当大学予防歯科学講座が行った口腔・全身調査に参加した823名(男309名、女514名)を対象にして、予後追跡調査を行った。4年間の予後調査中に140名(男66名、女74名)が死亡した。全死亡者140名の死因では、肺炎を含む呼吸器疾患死43名、悪性新生物死36名、脳血管障害を含む心血管疾患死34名が主な死因であった。 4年間全死亡と咀嚼可能食品数に基づく咀嚼能と生存曲線で有意差(P=0.01)が認められ、咀嚼食品数が0〜4個の群では5個以上咀嚼可能の群よりも生存期間が短かった。多変量コックス比例ハザードモデルを用い、性差とADLで補正しても有意に(P=0.037)咀嚼食品数4以下の群は15個全て咀嚼可能な群よりも生存期間が短かった。 次に、補正項目を増やすために80歳健診時に採血を行った697名(男277;女420名)だけを解析の対象とした。4年間追跡中に108名(男58;女50名)が死亡した。多変量コックス比例ハザードモデルで性差とADL、喫煙、BMI、血圧の他に血清のコレステロール、血糖、アルブミン値で補正した。15個全ての食品を咀嚼できる群に比べて、4個以下しか咀嚼できない群では2.38倍(P=0.03)と有意に死亡率が高かった。1.5年間追加予後調査した5.5年間追跡調査の全死亡数210名を対象とした多変量白ジスティック解析法でも、性差、ADL,喫煙、口腔衛生で補正した後でも咀嚼食品数4以下の群は15個全て咀嚼可能な群に比べて2.8倍(P=0.005)死亡数が多かった。咀嚼食品数以外に、男、ADL低下、喫煙、血清アルブミン濃度低下が死亡率上昇に寄与していることもわかった。 さらに、咀嚼能力と日常生活活動度(ADL)の関係を検討するため、これらに影響を与えうる緒因子を補正するためロジスティック回帰分析を用いて解析を行った。ADLで介護が必要になる危険性は15個全ての食品を咀嚼可能な80歳者に比べて、10-14個咀嚼可能者は1.879倍、5-9個だけ咀嚼できる者は3.333倍、0-4個しか咀嚼できなかった者は7.532倍も高かった。このことから、ADLの要介護割合は咀嚼能力と関係があり、咀嚼能力を高めれば要介護度を低下させる可能性が示唆された。 以上の調査結果から、咀嚼機能を改善することが、80歳という超高齢者でも、生存率を改善し要介護度を低下する可能性があることが示唆された。
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