研究課題
本研究の目的は、研究-1:偏位性咀嚼習癖を持つ患者の聴力変化の機構を明らかにするため、コットンロール噛みしめ時の聴性誘発脳磁場(AFEs)を定量的に比較検討すること。研究-2:歯科診療所に来院した患者の偏咀嚼と聴力値との関連性を疫学的に検討すること、である。本年度に得られた新しい知見は、研究-1:申請者らの開発した最大咬合圧の40%以下までのコットンロール噛みしめの条件でAFEs測定を行う方法を用いて研究1を行い、以下の結果を得た。噛みしめ時のAEFs応答は、左右側音刺激に対するAEFs応答はすべての被験者で低下しており、特に噛みしめ側と同じ聴覚野の応答に有意な差が認められた。噛みしめが聴覚野応答を低下させる理由として1)顎関節の偏位による形態的変化、2)中耳および内耳の神経支配への影響、あるいは3)gate controlによる中枢での抑制が考察された。本研究は、コットンロール噛みしめが、聴覚誘発磁場に影響を与えていることを客観的に示すものである。また、本研究に用いた方法は、噛みしめの聴覚応答をはじめとする体性感覚に影響を与えていることを実験的に検討する方法として有用であることを示している。研究2:オージオグラムの咬合咀嚼機能の動的評価への応用について20症例による検討を行った。すなわち、プレスケールおよびシロナソアナライジングシステムによる咬合咀嚼機能の評価にオージオグラムを加えることの有効性を評価しました。その結果、質問紙調査、口腔内診査、プレスケール、咀嚼運動ならびに作業用模型による分析にオージオグラムの周波数別の聴力低下パターン評価を組み合わせることにより、咬合咀嚼運動のより正確な動的評価が可能であることが示された。
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