研究概要 |
看護研究のためのEBNパッケージとして,データ解析支援システムに要求される事項は何かを検討するために,平成15年に全国の看護系大学教員を対象とした調査を実施した。調査データの詳細な解析を行い,国内外の学会等で発表した。 看護研究の方法として量的研究が86%,質的研究が72%であった。しかし,大学等の授業では質的研究の学習が不十分であり,自己学習や勉強会等により,質的研究を学習しようとする傾向が示唆された。 質的研究の信頼性の認識と大学・大学院での質的研究の講義の受講歴とは関連が認められなかった。しかし,自己学習の経験の有無と質的研究の信頼性を高いとする認識傾向には関係が認められた。同様に,勉強会等の実施経験の有無と質的研究の信頼性を高いとする認識傾向は有意であった。 質的研究の妥当性の認識に関しては,自己学習の有無,勉強会等の実施経験の有無,講習会等への参加の有無で有意差が認められた。 質的研究の信頼性,妥当性に関して,高く評価するものほど,学習経験や実際に質的研究法を実践している割合が高かった。質的研究を高く評価するので,研究実践を行い,その実践を通してさらに信頼性や妥当性を確信するものと考えられた。 EBNの枠組みは量的研究に基づいているので,質的研究が重視される看護研究では,現在の枠組みとは別の評価システムが必要と考えられた。
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