研究概要 |
看護師の臨床看護実践能力の向上は患者情報を有効に活用できるアセスメントツールを開発し、看護過程を展開することにより期待できると考えた。そこで、診療録や看護記録に散在する患者情報をアセスメントツールに基づきデータベース化し、看護師がアセスメント、看護介入計画、評価する看護支援システム(以下、新システムとする)を開発した。アセスメントツールは、研究協力施設で用いる患者情報と広島大学附属病院の観察測定マスタの整合性を検討し、NANDA(北米看護協会)の看護診断分類を参考に作成した。それを既存の看護支援システムにプログラミングし、アセスメントガイドシステムを持つシステムに開発した。新システムは、看護師の臨床看護実践能力の向上、患者の個別性に対応した看護実践の標準化を促進する。 さらに新システム導入による臨床看護実践能力の向上を検証する指標として、多くの医療施設で活用できる標準的な臨床看護実践能力評価項目を作成した。臨床看護実践能力評価項目は、5つの医療施設のクリニカル・ラダーを検討し、共通あるいは類似する項目を削除し、評価項目で使用する用語の統一を行い、6人の専門職が妥当性の検証を行った。この、臨床看護実践能力評価は、評価項目をベナー看護論の初心者(学生に相当する)を除いた4つのレベルに構造化し、4段階評価とした。臨床看護実践能力評価は臨床看護実践能力評価マスタとして新システムにプログラミングし、堀内ら^<1)>の「看護ケアの質質問用紙-患者用」、菊池ら^<2)>の「看護の専門職的自律性の因子」と比較検討を可能にする。 1)堀内成子ら:看護ケアの質を評価する尺度開発に関する研究.日本看護科学学会誌16(3),30-39,1996. 2)菊池昭江ら:看護の専門職的自律性の測定に関する一研究.静岡大学教育学部研究報告(人文・社会学編)第47号、241-254,1996.
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