研究概要 |
これまでの家族機能尺度「FFFS(Feetham家族機能調査)日本語版I」の開発・研究成果を基盤として,独自の新しい家族機能尺度として「エコロジカル家族機能調査(The Survey of Ecological Family Functioning ; SEFF)1.0J」を開発した.まず,(1)日・米・中における通文化的比較研究を枠組みとして,ファミリーサポートハウスを利用している家族や家族帯同赴任中家族などを対象とし,日本家族の家族機能の特徴を明らかにする量的ならびに質的な研究を行った.次に,(2)日本家族の家族機能をアセスメントするモデルとして,独自の「家族同心球環境モデル」の構築を行った.これは,スープラシステム,マクロシステム,ミクロシステム,家族システム,クロノシステムで構成され,家族内と家族外の構造と機能をアセスメントするために提唱するモデルである.そして,(3)「家族同心球環境モデル」にもとづいた「家族機能尺度SEFF」の開発とその標準化を行った.「家族機能尺度SEFF」は,わずか2ページで,30項目からなる自記式質問紙であり,家族機能を評価する満足度得点(家族機能得点)を測定できる.また,回答者となるパートナー間で家族機能の評価に乖離がないという特徴をもつ.満足度得点のカットオフスコアも設定されており,家族機能不全家族を検出することが可能である.さらに,家族機能の重視度得点,ニーズ得点が算出でき,家族看護介入が必要な領域が明確にできる.今後は,各発達段階にある多様な家族を対象とした家族機能研究を積み重ね,機能不全家族への家族看護介入に取り組んでいくことが課題である.
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