研究概要 |
本年度は、(1)2型糖尿病患者の自己管理行動を促進するための介入プログラムの作成を行った。次に、(2)作成した介入プログラムをアセスメントアルゴリズムによって抽出した2型糖尿病患者に対して適用した。 (1)について:行動変容及び行動の維持を目的に、学習理論や行動理論などに基づく認知行動療法を取り入れた米国Diabetes Prevention Programを参考に,疾病管理の対象者向けに,わが国の診療体制と食生活に合わせて6ヶ月(月1回の30分以内の個別面接とその間1回の電話やメール等の対話を含む)の糖尿病行動変容プログラムを作成した。 (2)昨年度作成したアセスメントアルゴリズムを用いて本プログラムの適用患者を抽出し、プログラムを2大学病院の成人2型糖尿病外来患者36名を対象に比較対照試験を実施、身体的指標(HbA1c,体重、血圧、総コレステロール、中性脂肪)と心理社会的指標(QOL, PAID、自己効力感,心理的準備情愛,目標達成度,ソーシャルサポート,受診状況)を用いて,作成したプログラムの予備的調査を行なった。介入群には、アセスメントアルゴリズムに基づき、心理的準備状況及びLocus of Controlにより適したコミュニケーション手法を用いた。 6ヶ月間の運用の結果,使用後の利用者のアンケート調査ではプログラムの運用性が確認できた。有効性においては,プログラム終了時点の2群比較では介入群の有意な改善は認めず,介入群内の経時比較では血圧および目標達成度の改善を認めた。その理由として,対照群の取り扱い,対象者の選定,評価指標,プログラムの評価時期の問題が考えられた。また,面接の時間帯や指導媒体の工夫,セルフモニタリングの強化,運動の確実な促進など,多くのプログラム内容の強化を必要とした。これら,様々な検討事項が明らかになり,今後のプログラム改善の方向性が見出された。
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