研究課題/領域番号 |
15390679
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
錦戸 典子 東海大学, 健康科学部, 教授 (10172644)
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研究分担者 |
村嶋 幸代 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60123204)
麻原 きよみ 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (80240795)
安齋 由貴子 宮城大学, 看護学部, 教授 (80248814)
福田 英子 東海大学, 健康科学部, 講師 (50296521)
田口 敦子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70359636)
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キーワード | 保健師 / グループ支援 / コミュニティ支援 / プロセス / アウトカム |
研究概要 |
本研究は、保健師活動におけるグループ支援およびコミュニティ支援のプロセス、およびそのアウトカムを体系化・標準化し、地域看護学の学問的基盤を再構築するとともに、根拠に基づいた実践に役立つ知見の集大成を期するものである。本年度は、行政保健師によるグループ支援活動、行政保健師による地域-職域連携システム構築活動、ならびに、産業保健師による職域組織支援活動の3分野に関して、それぞれ次のような研究を展開した。 グループ支援活動については、昨年度に実施した先行研究による既知見からの統合、ならびにその結果に基づいて構築したグループ支援の方向性についての概念枠組みをベースにしつつ、これらの先行研究では明確にできなかった地域ニーズの把握からグループ支援に至る過程や他地域への波及を図るための部分を中心に、グループ支援の良好実践事例を担当した保健師へのインタビューを行い、活動プロセスおよびアウトカムを抽出した。その結果、文献研究から構築した「グループの形成支援」、「グループの主体性獲得の支援」、「グループ活動の地域への発展の支援」の3つのグループ支援の方向軸それぞれに、新たな支援技術の要素を抽出できた。また、地域ニーズの把握からグループ支援にいたる過程やグループ形成は、すべてのグループ支援に共通している必須の支援プロセスであるのに対し、主体性の獲得視点や地域への発展は、地域住民のニーズに応じた支援プロセスであると考えられた。他地域への波及を図るための事業化や他の保健師への技術の継承等に関する新たな支援要素も抽出され、これらは地域への発展支援の一部と位置づけられた。現在、これらのカテゴリー化ならびに構造化の精度を上げつつ、実際の地域保健におけるグループ支援活動の実態ならびにそれらに関連する要因探索を意図した質問紙調査の準備を進めている。 地域-職域連携システムの構築、および、職域組織支援活動については、それぞれ良好実践事例を担当した保健師へのインタビューから、コミュニティ支援プロセスのコアとなるプロセスとアウトカムを抽出し、構造化(mapping)を行った。保健師の活動特徴として、個別のメンバーへの支援サービス等を通してコミュニティの健康支援ニーズを的確に把握し、それに基づいて必要な関係者・関係機関との信頼関係の構築ならびに連携・調整・ネットワーク化を行って、個人だけでなくコミュニティを対象としたケアシステムを構築していることが、示唆された。
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