研究概要 |
平成15年3月にカンボジア国立疫学公衆衛生研究所を訪問し、共同研究者のOum Sophal氏と研究計画の打ち合わせをした。同氏が開発しているcommunity-based surveillance system(CBS)の実施状況を検討し、調査地の候補を探った。複数の候補を挙げ、訪問して実施可能性を検討した。また諸外国の政府開発援助機関、NGO、及び母子保健センターのカンボジア人医師と意見交換し、カンボジアにおける妊産婦死亡、妊婦健診の普及状況、妊産婦の受療行動の現状について、情報を収集した。加えて必要な文献を、NGOが設立した図書施設を訪ねて収集した。 8月にカンボジアを再訪し、CBSの実施精度が高いKompong Cham県Memot郡を第一調査候補地とした。このMemot郡の地域保健事務所長らと研究の実施可能性について検討、一部地域のみで導入されているCBSを郡内全域に広げることに合意した。CBS拡大にあたって必要な書類の印刷と保健ボランティアトレーニングを研究者が支援するとともに、Sophal氏が技術的な指導を強化することとした。Memot郡は人口約12万人、カンボジアの出生率から推定される出生数は3ヶ月で約1,000例である。このうち妊娠出産に伴う異常は100人前後と予想される。 妊産婦死亡には医療機関の質が関連するため、Memot郡の保健センター(一次医療機関)、リファーラル病院(二次医療機関)の視察を行った。また質問紙開発の参考とするため、Memot郡で3ヶ月以内に出産した女性に対する聞き取り調査を行った。分娩場所、分娩介助者、妊娠中及び分娩時、産褥期の異常などについて尋ねた。 平成16年3月にカンボジアを訪れ、CBSの実施精度を評価した。一部地域の保健ボランティアの活動が停滞しているため、これらの地域では全戸訪問による対象者の探索を行わなければならない可能性が示唆された。
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