研究課題/領域番号 |
15401002
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都嵯峨芸術大学 |
研究代表者 |
箱崎 睦昌 京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 教授 (90351379)
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研究分担者 |
山村 高淑 京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 専任講師 (60351376)
宇野 和幸 京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 助教授 (40351382)
林 潤一 京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 教授 (70351377)
米村 祥央 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (50332458)
山内 章 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (90174573)
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キーワード | 台湾興済宮 / 韓国通度寺 / 彩絵 / 壁画 / 豚血下地 / 桐油彩色 / 丹青 / 東アジア |
研究概要 |
1.台湾台南市三級古蹟興済宮の三川殿扉絵を国立文化資産保存研究中心籌備處で修復を行っている。クリーニングはアンモニア水を、剥落止めはアクリル樹脂ParaloidB72を用い、学生や若手技術者を指導しつつ処置を進めている。 2.興済宮拝亭塑泥壁画(鏝絵)雲龍図を粉末消しゴムでクリーニングした。彩絵の剥落止めはB72の噴霧を、鏝絵の破損部分は石質強化剤またはB72の含浸による強化処理を計画している。 なお、共同研究を進める台湾国立文化資産保存研究中心籌備處に於いて、壁画の煉瓦壁の脱塩処理と石質強化剤による強化処理の実験を行っている。 3.扉絵の復原模写制作に着手した。スギ材で扉を復原製作し、豚血下地と彩色の白色下地作りを行った。台湾の豚血下地は豚の血液と生石灰と煮桐油から作る。日本で血液の入手は困難であったが、関係機関の協力を得て試作と本制作で延べ5回実験を行った。また、沖縄と中国の方法でも試作し比較研究を行った。彩色の白色下地は(1)煮桐油単体(2)煮桐油と膠を混合したエマルションの2通りのメディウムを試作したが、(1)の方が堅牢であるためこれを採用し、鉛白と練り合わせて下地絵具を作り、扉の豚血下地の上に塗り重ねた。 4.関連研究として国内では日光東照宮の桐油彩色を観察し、紫外線による絵具の褪色事例を確認した。国外では韓国の通度寺の建造物彩色を調査し、通度寺聖寶博物館長梵河氏他学芸員諸氏と装飾彩色や壁画の保存修復について意見交換した。その結果、16年度に共同で保存調査を行うことで準備を進めている。 5.平成15年11月に奈良市の奈良県文化会館に於いて「東アジアにおける建造物彩色と壁画の保存修復」講演会を開催した。当該研究の関連として、韓国丹青技術者金京燮氏に「安東鳳停寺大雄殿の丹青様式」、那覇市(株)国建の福島清氏に「首里城の建築彩色」について講演して戴き、意見交換を行った。
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