研究課題/領域番号 |
15401002
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研究機関 | 京都嵯峨芸術大学 |
研究代表者 |
箱崎 睦昌 京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 教授 (90351379)
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研究分担者 |
林 潤一 京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 教授 (70351377)
宇野 和幸 京都嵯峨芸術大学, 芸術大学, 助教授 (40351382)
山村 高淑 京都嵯峨芸術大学, 専任講師 (60351376)
山内 章 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (90174573)
内藤 正子 (中越 正子) (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (40280838)
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キーワード | 扇絵復元模写 / 現状維持 / 鏝絵壁画 / 通度寺霊山殿 / 土壁壁画 / 東アジアの連携 / 人材育成 / 保全と活用 |
研究概要 |
1.台湾台南市三級古蹟興済宮の三川殿扉絵門神像の修復を完成した。修復は彩絵のクリーニングと剥落止めを主体として、現状維持・保存を原則とした処理を行った。台湾では、現状維持を原則とした建造物彩色の保存修復を公に成果発表したことは初めてであり、その意義と修復の仕上がりについて評価された。その経験と成果は、今後、台中鹿港龍山寺の装飾彩色修復に継続される。 2.上記の興済宮扉絵の復元模写製作を完成した。オリジナルと同寸のスギ材製扉に豚血下地に桐油絵具による彩色で門神像を模写した。模写作品は2004年11月に京都嵯峨芸術大学で開催したシンポジウムにおいて研究報告とともに作品を展示、公開した。また、興済宮後殿鏝絵壁画の復元模写制作の準備として、台湾の鏝絵職人の協力を得て鏝絵壁の試作を行った。 3.関連調査として、2004年8月に韓国の通度寺聖寶博物館の協力を得て、通度寺霊山殿の内部装飾彩色と壁画の保存状況調査を行った。彩色の剥離・剥落の修復処置と、屋根の重さで負荷が掛かり亀裂と破損を生じている土壁壁画の保存修復方法について、韓国側と協力体制を作り研究活動を行うことを確認した。また、中国の北京故宮博物院・恭王府花園・崋山西岳廟・崋山玉泉院の寺院建造彩色ならびに敦煌莫高窟の彩色修復現場を視察し、保存修復方法と修復材料に関する状況を確認した。特に北京において中国建造物彩色の第一人者であり、「中国古建彩画芸術」の著者馬瑞田氏から中国伝統的彩色技法の聞き取り調査を行った。 4.2004年11月に京都嵯峨芸術大学において、当該研究報告書を兼ねて、「東アジアにおける古建造物彩色・壁画の保存と修復」シンポジウムに開催し、日本・中国・韓国・台湾の研究者の基調講演と、日本の研究者によるパネルディスカッションを行った。シンポジウムでは今後の課題として、(1)東アジア諸国との連携による保存修復研究の推進、(2)次代を担う研究者・技術者の育成、(3)伝統的建造物や町並みの保全と活用の問題が取り上げられた。
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