研究課題/領域番号 |
15401008
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 九州大学(芸術工学研究院) |
研究代表者 |
大西 修也 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (20117295)
|
研究分担者 |
林 南壽 九州大学, 芸術工学研究院, 日本学術振興会外国人特別研究員
石川 幸二 九州大学, 芸術工学研究院, 助教授 (60168193)
金 大雄 九州大学, 芸術工学研究院, 講師 (90346859)
|
キーワード | 日韓 / デジタルアーカイヴ / 文化財の保存と修復 / 積層法 / 3次元デジタル画像 / デジタル技術 / 磨崖石仏 / 黒瀬銅造如来坐像 |
研究概要 |
1.当調査研究は、研究代表者を中心に平成14年度から着手しているプロジェクト「文化財のデジタルアーカイヴ-日韓古代彫刻資料の保存と復原に関する調査研究-」の一環として実施している。調査では最新の光学機器(ミノルタVIVID910)を用いて仏像を実測し、デジタル技術を応用して3次元画像を作成、その復原的研究に役立てることである。平成14年度の国内調査、長崎県対馬市の黒瀬銅造如来坐像及び台座(重要文化財)を含む金銅仏調査はほぼ完了し、変形した鋳造仏の復原に関する成果の一部を関係学界ならびに現地の自治体関係者に公開済みである。 2.平成15年度の海外調査(8月27〜9月7日)では、韓国慶尚北道にある奉化北枝里磨崖石仏及び関連遺跡である栄州広域市の可興里磨崖三尊仏の実測調査を行った。北枝里磨崖石仏は、調査対象の中で最も規模が大きく総高約6メートル、可興里磨崖三尊仏はその半分約3メートルである。5月下旬の事前調査の後、6月下旬に起きた大出水で可興里磨崖三尊仏の母岩の一部が崩壊、遺跡保存に向けた総合的な科学調査の必要性が緊急の課題となった。当調査団もそうした現地の要望に応え、当初予定していなかった可興里磨崖三尊仏のデジタル化にも取組むこととなった。ただし、可興里磨崖三尊仏には屋蓋施設がないため、太陽光が弱まる夕刻から夜間にかけて作業を行わなければならず、昼間に北枝里磨崖石仏を夕刻から可興里磨崖三尊仏の実測調査に従事した学生諸君の苦労は大変であった。 3.現在、破損した石仏断片の実測資料を整理、デジタル画像は本体部分の貼り合わせ作業を進めている。復原実験では積層法による北枝里磨崖石仏の1/2頭部模型と1/4頭部模型を制作、頭部の復原と失われた目の修復を可能にする貴重なデータを入手することができた。 4.調査国に対する成果の還元という観点から、両磨崖石仏の頭部3次元デジタル画像を現地で作成、帰路ソウルの弘益大学校美術学部で現地報告会を開催した。
|