研究課題/領域番号 |
15401008
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大西 修也 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 教授 (20117295)
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研究分担者 |
金 大雄 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 講師 (90346859)
石川 幸二 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 助教授 (60168193)
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キーワード | 日韓 / デジタルアーカイヴ / 文化財の保存と修復 / 復元研究 / 磨崖石仏 / デジタル技術 / 積層法 / 三次元デジタル化 |
研究概要 |
1.当調査研究は、最新の光学機器(ミノルタVIVID 910)を用いて韓國内の大型磨崖石仏や仏像を実測し、取得したデジタルデータを3次元化することによって文化財の保存と修復に役立てることで、平成15年度から3年計画で実施している。平成16年度の海外調査(8月31日〜9月9日)では、忠清北道忠州地区と清州地区及び忠清南道禮山地区と瑞山地区の磨崖石仏と四面石仏の実測調査、及び平成15年度分の補足調査を行った。ただし、禮山花田里四面石仏については、発掘調査で出土した頭部や手の断片が、国立中央博物館移転準備のために調査できず、次年度に行うこととなった。 2.忠州地区の鳳凰里磨崖石仏は、北の高句麗仏教の南下を示す重要な遺跡であるが、車の入らない小高い山腹にあるため発電機をはじめとする調査機材を全て手で運び上げなければならず、これまで大規模な調査が行われてこなかった。今回のデジタル化と高精細画像の作成によって、これまで写真や拓本では判読できなかった群像の詳細(菩薩半跏思惟像と脇侍菩薩の着衣や瓔珞、及び蓮華坐の全貌)が明らかになってきた。忠州地区調査に引続き、平成15年度調査でデジタル化された奉化北枝里磨崖石仏の復元に関連し、判読できなかった如来頭光部の補足調査を行い、左右2躯の化仏と蓮華文からなることが判明した。 清州地区の清原飛中里三尊石仏については、すでに紛失した屋蓋施設を除き、3Dデジタル化の作業を終了し、左脇侍菩薩ならびに獅子座の復元段階に入っている。飛中里三尊石仏の調査では、結跏趺坐する如来が従来考えられていた坐勢とは異なり、左足首を懸裳から露出する表現となっていることが判明、隣接する忠州鳳凰里磨崖石仏との関連性が考えられる。 3.成果公開については、15年度調査の奉化北枝里磨崖石仏の復元過程を中心に、美術史学会全国大会(慶応大学)及び韓國の学術誌(『美術史研究』第18号、弘益大学)に発表した。
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