研究概要 |
平成18年度の研究実績 チベットの有形・無形文化について北京市にあるチベット関係の収蔵・学術関連施設で冬期調査をすすめた(12/24-12/28)。 1.有形文化財の収蔵施設の調査: 1)故宮博物院の資料調査: 故宮博物院の収蔵品から清朝一特に乾隆帝、順治帝の文人皇帝の旺盛な芸術志向のなかにチベット仏教芸術の積極的な導入背景と図像の関連を調査した。 2)北京首都博物館の資料調査: ・本博物館収蔵品にある大仏立像光背のチベット風の影響について図像調査した。船形光背に、飛天をその頂上部にガルーダを配した特徴的なものである。図像的な問題の検討をすすめた。 ・荘厳具から仏像、護法神、仏画、密教法具など金属工芸品を調査、写真撮影を行った。 本博物館は、清朝の歴代皇帝関係のチベット収蔵資料を国家歴史博物館、故宮博物館、国家図書館とは別のもので、その質は、天津美術館の収蔵品と匹敵する重要な資料を有する。 ・インド仏教美術資料の調査:北京首都博物館において古代からパ-ラ朝にいたる「インド仏教美術」の資料展示を調査しヒマラヤ文化圏世界へ与えた芸術的影響について調査できた。 3)北京市内における,白塔寺,庸和宮、チベット仏教寺院の伽藍調査、 ・寺院の伽藍配置とともに荘厳をささえる工芸美術(金属工芸、仏画、染織工芸),工房,工匠,ならびに仏画の収蔵品を調査し、工芸技術の調査で多くの知見を得た。 2.以上の調査より、青海省から西藏自治区をめぐる本調査の結果、青海(旧アムド地方)から西藏(中央チベット)を結ぶチベット仏教文化が中国・江南、蒙古への伝播ルートに沿った吐蕃時代にさかのぼる歴史・地勢的、および芸術の今目的状況の関連調査が出来た。
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