研究分担者 |
木庭 元晴 関西大学, 文学部, 教授 (40141949)
高橋 誠一 関西大学, 文学部, 教授 (00025082)
高橋 隆博 関西大学, 文学部, 教授 (70188019)
中谷 伸生 関西大学, 文学部, 教授 (90247891)
薮田 貫 関西大学, 文学部, 教授 (80027987)
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研究概要 |
平成15年度は,美術史分野をはじめとする各分野の研究者が合同で,インド共和国内において石窟寺院の最大密集地帯である西インド・マハーラーシュトラ州で踏査を実施し,その正確な位置関係や石窟数,規模,種類などについて,画像記録や数値記録などを作成する準備作業を行いました。 現地調査は平成15年8月に,主要な調査対象遺跡と策定したカーンヘリー石窟寺院を中心に,西インドに分布する標式的な石窟寺院の踏査を実施しました。カーンヘリー石窟はムンバイの北方約30kmの位置に所在し,総数110窟以上が開窟された最大規模の石窟寺院で,その造営時期はグプタ朝期以降の後期に所属するものが多くを占めます。調査は前期石窟としては大規模かつ建築的な完成度が最も高いカールラー石窟寺院のチャイティヤ窟に匹敵する,第3窟を中心に実施しました。この第3窟はその正面に2層の柱列を掘り残しており,入り口の左右に彫刻された男女の供養者像はアマラーヴァティー様式と比較できる優品です。また,カールラー石窟寺院のチャイティヤ窟と比較した場合,その内部構造もやや粗雑になり柱頭装飾も様式的に衰えが目立ちますが,遺存状態が良好で西インド屈指のチャイティヤ窟の一つであることが確認できました。また,後期窟には仏三尊像,説法像,観音八難(十難)救済図,十一面観音像などの貴重な図像があり,これらを資料化する準備調査も実施しました。 周辺地域ではコンディヴテー石窟,ナーシク石窟,カールラー石窟,ベードサー石窟,バージャー石窟,ジュンナル石窟などを踏査しました。特に,ジュンナル石窟はその一部が知られるのみで未調査の石窟が広範囲に散在する大規模な石窟群であることが判明し,平成16年度に詳細な分布調査を実施してその全貌を把握する予定です。
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