2003年8月24日〜9月3日、研究分担者佐々木利和および研究協力者丹菊逸治は、ロシア共和国サハリン州ポロナイスク市において、ポロナイスク郷土博物館に収蔵されているニヴフ・ウィルタ民具コレクションの調査および、現地のニヴフ人からの民具名称や使用法などに関する聞き取り調査を行った。海外研究協力者である北方民族大学教授チューネル・タクサミもこの調査に加わった。 また、2003年11月21日〜2004年1月19日、丹菊が単独でサハリン州に赴き、ポロナイスク市およびノグリキ市において、以下のような内容でニヴフ民族の言語・民具の調査を行った。 民俗語彙、民具名称と使用法などについての調査が主だが、ニヴフ語地名および、ニヴフ語の基礎語彙、口承文芸についても調査。ポロナイスク市においては戦後の言語資料が少ないため、基礎語彙調査も行った。ポロナイスク博物館において収蔵された民具(ニヴフ民族およびウィルタ民族のもの)に関する聞き取り。また現在では使用されていない民具に関しても情報を得る。ノグリキ市においては、漁具および祭具に関する情報を得る。なお、ポロナイスク市で得られた情報はオタス、サチ、ウスチェ(タライカ湖畔)などニヴフ人の小集落に関するものである。ノグリキ市で得られた情報はダギ、チャイヴォ、ラルヴォなどニヴフ人の小集落に関するものである。さらに、両地点においてチルウンヴド周辺の小集落出身者よりポトヴォ、ウスクヴォなどに関する情報が得られた。結果としておおよそトゥミ川流域の全域にわたる情報が得られた。 なお、研究代表者である中川は今年度文学部教務委員長という忙職にあり、現地調査を行うまとまった時間が得られなかったため、佐々木・丹菊の調査報告に基き、民具名称データベースの作成を主に行った。
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