研究概要 |
中川と大野は、これまで蓄積してきたグイ語・ガナ語の語彙データベースの整備作業をさらに進めるとともに、クエ(Khwe)語辞書とナロ(Naro)語辞書、ナマ(Nama)語辞書の記載から、本研究に関連する項目の検討を行い、これらは現在も続いている。高田は、ハイオムの現地調査を追加的に実施し、資料の拡大をおこなった。 これまでの研究成果の一部を英文資料にして、それを南アフリカ(WITS大学のトレール教授・プロック教授、ケープタウン在住のエルダーキン教授)やナミビア(ナミビア大学のハッケ教授)、ドイツ(MPIのグルデマン博士)、オランダ(マックスプランク研究所)、オーストラリア(メルボルン大学のエバンス教授)のコイサン研究者や言語学者に提供し、それにもとづく討議を行った:南アへは中川が、ナミビアとオランダへは高田が、オーストラリアへは大野が直接赴いた。ドイツへは中川、大野、高田の全員が赴いた。 2006年1月に、研究組織の3人全員で、オーストリアで開催された第2回コイサン諸語研究国際シンポジウム(The Second International Symposium on Khoisan Languages and Linguistics,"Genesis and Development : In memory of Pastor Eliphas Eiseb". Riezlern, Germany, January 8-12.)に参加し、研究成果の一部を口頭発表した。発表研究題目は次のとおり:Nakagawa, H. "The compound verb construction of G|ui" ; Ono, H. "Irrealis modality in G/ui" ; Takada, A. "Naming practices among the Central Kalahari San(G|ui and G||ana) : An anthropological approach on early vocal communication"。これら3つの研究発表のうち、中川の論考が扱っている複合動詞という形態論的プロセスにおいては、知覚動詞が特異な振る舞いを見せることが明らかになった。この特徴が、グイ語やガナ語以外のコエ語においても同様に見られるかどうかは、今後の調査で探求しなければならない。 このシンポジウムでは、参加していたコエ語調査者たちと語彙研究の現状について情報交換も行うことが出来た。 また、2006年8月下旬から9月下旬にかけて行う予定の最終現地調査のための調査票作成に着手した。
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