• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

コエ語族の知覚動詞と関連語彙における多義性と意味拡張

研究課題

研究課題/領域番号 15401013
研究機関東京外国語大学

研究代表者

中川 裕  東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (70227750)

研究分担者 大野 仁美  麗沢大学, 外国語学部, 助教授 (70245273)
高田 明  京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助手 (70378826)
キーワードコイサン / 意味論 / 知覚動詞 / コエ語族
研究概要

8〜9月、11月、12〜1月に南アフリカとボツワナに渡航し、最終的調査と録音資料収集を実施した。その結果、コエ語族の未記述言語であるツィラ語とカバ語の知覚動詞体系に関する理論的に興味深い新事実を発見した。以下に要約する。
ツィラ語はグイ語・ガナ語と同じ知覚動詞体系をもつ:Activity(ACT)とExperience(EXP)とを区別しない(ACT-EXP)がCopulative(COP)は区別される;ACT-EXPでもCOPでも視覚は独立語彙化されているのに対し、聴触味嗅覚には同一の多義的語彙が与えられている;聴触味嗅覚の動詞は、ACT-EXPでは聴覚が基本義であるのに対し、COPでは味覚が基本義である。この多義性と意味拡張は、Vibergが提案しているCOPの語彙化にかかわる一般化への反証となる。
カバ語の知覚動詞体系においては、ACT-EXPで視覚と聴覚とが各々語彙化されるが、触味嗅覚には同一の多義的語彙が与えられる。また、COPでは上記の3言語と同様に、視覚だけが独立の語彙をもち、聴触味嗅覚には同一の多義的語彙で表現される。この体系で重要なのは、ACT-EXP触味嗅動詞とCOP聴触味嗅動詞の基本義がいずれも味覚と判断されることである。これは、Vibergが提案する知覚動詞の普遍性に対して2つの反証(味覚→触覚、味覚→聴覚という逆行的意味拡張)を示す。
本研究はこのように従来提案されていた知覚動詞の普遍性や一般化に改訂を求める新知見をもたらした。なぜコエ諸語では、このように味覚が重要な役割を果たすのだろうか?コエ諸語知覚動詞の類型論的特徴とこの問題にたいする探求をテーマとした研究発表を、Association for Linguistic Typology - 7th Biennial Meeting,25-18 Sept 2007,で行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Gui dialects and Gui-speaking communities before the relocation from the CKGR.2007

    • 著者名/発表者名
      Hirosi NAKAGAWA
    • 雑誌名

      PULA : Botswana Journal of African Studies Vol.20,No.1

      ページ: 48-61

  • [雑誌論文] Explaining pathways in the Central Kalahari2006

    • 著者名/発表者名
      Akira TAKADA
    • 雑誌名

      Senri Ethnological Studies No.70

      ページ: 101-127

  • [図書] Aspects of the Phonetic and Phonological Structure of the G/ui Language2006

    • 著者名/発表者名
      Hirosi NAKAGAWA
    • 総ページ数
      303
    • 出版者
      PhD thesis, University of the Witwaterstand(2006)

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi