研究課題/領域番号 |
15401014
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
森口 恒一 静岡大学, 人文学部, 教授 (10145279)
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研究分担者 |
山田 幸宏 姫路獨協大学, 外国語学部, 教授 (00036659)
笠原 政治 横浜国立大学, 教育人間学部, 教授 (70130747)
野林 厚志 国立民族学博物館, 助教授 (10290925)
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キーワード | ブヌン / ヤミ / イトバヤット / ツォウ / 博物館 / 民間伝承 / 集集大地震 / 氏族制度 |
研究概要 |
この調査・研究の目的は、台湾原住民とフィリピンの北部ルソン島とその北にあるバブヤン諸島、バタン諸島のイトバヤット島、イヴァタン島、サブタン島などの消滅する危機にある少数民族に継承されている民間伝承を中心に記述し、その中に記録されている事柄を言語学的、人類学的、考古人類学的な観点から学際的な調査研究を行うことである。 このプロジェクトに参加している研究代表者の森口、分担者の山田、笠原、野林の3名は、それぞれ現地調査を行い、記録・分析を行った。フィリピン側は森口と山田が担当し、イヴァタンとイトバヤットの伝承、歌謡、語彙、文法、テキストの採集の調査研究を、台湾側では、森口、笠原、野林が担当し、森口は、中部のブヌン語と南部のヤミ語を、笠原は、ルカイとタイヤルの伝承の裏にある人類学的事実を、野林は、台湾原住民の文化と伝統の保存と展示に関する調査研究を、行った。また、国内においては、森口と笠原が、過去の調査記録を整理した。それらの調査・研究成果をもとに全員が本プロジェクトの最終報告書の執筆を行った。 特に、森口は、若い人たちにもう忘れ去られていて、老人層に継承されているブヌン語の伝承と歌謡を多量に発掘し、それを記述し、入力し、翻訳・文法的解釈を行った。一方、先年の台湾の集集大地震の際、原住民が経験したことを母語であるブヌン語で話したものをテキスト化して収録した。山田は、イトバヤットの会話の教科書を英語、タガログ語の解説を加えて作成した。笠原は、ツォウの氏族組織の研究を伝承という資料から解きほぐし、分析を人類学的な手法で行った。また、野林は、台湾の原住民博物館の原住民文化の保存と展示という観点から研究を行った。これらの研究は研究報告書としてTexts, Contexts and Materials --- Research Reports on Batanes and Taiwanとしてまとめられた。 一方、森口がイトバヤットの調査協力者とともに編纂している「イトバヤットー英語辞典」の候補語彙の抽出を終わり、現在は、その精選と翻訳と例文を追加し、将来の出版の基礎を作りつつある。
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