平成15年度は、ロシア連邦サンクトペテルブルグ市およびウズベキスタン共和国タシゴケント市において、ロシア帝政期の写真・画像資料を中心に中央アジア地域研究に関連する希少資料に関する調査を中心に研究を進めた。サンクトペテルブルグでは、海外共同研究者Ch.タクサミ教授の仲介により、ロシア科学アカデミー人類学民族学博物館中央アジア部門主任R.ラヒモフ博士と知己を得、本研究におけるより直接的な協力につき検討することができた。同博物館は初代トルキスタン総督カウフマンが制作させた『トルキスタン・アルバム』ほか、当時の写真家や東洋学者による写真コレクションを所蔵していることが明らかとなった。また同市において比較的大規模な写真コレクションを所蔵しているのは考古学研究所写真アーカイヴとロシア地理学協会であることがわかり、これらにおいても写真資料に関する調査に着手し、一部所蔵資料に関する情報を提供してもらった。機関間の横の連携がほとんどなく、所蔵資料に関する情報の共有や資料そのものの共有などの観点から本研究のようなアプローチが有益であることを実感した。タシュケント市では、海外共同研究者E.ルトヴェラゼ教授の協力によりウズベキスタン文化省文化遺産保存部および国立中央アーカイヴ写真映画音声資料フォンドにおいて調査を行った。今年度は、現地調査期間を縮小せざるをえなかったこともあって、現地調査においては資料調査と実験的なデジタル撮影をするにとどまったが、資料情報を整理すると同時に、来年度に向けて本格的なデジタル撮影とアーカイヴ構築の方法につき検討中である。
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