研究課題/領域番号 |
15401023
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
川西 宏幸 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 教授 (70132800)
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研究分担者 |
周藤 芳幸 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70252202)
堀 賀貴 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (20294655)
内田 杉彦 明倫短期大学, 歯科技工士学科, 助教授 (00211772)
辻村 純代 国士舘大学, イラク古代文化研究所, 研究員 (60183480)
力丸 厚 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70334688)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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キーワード | 古代エジプト / アコリス遺跡 / 衰滅・終焉 / 新王国・第3中間期・末期王朝 / 王朝 / 都市 / 手工業生産・交易 / 造墓 |
研究概要 |
本研究は、衰滅とされる歴史上の出来事についてその意味を問うために、古代エジプト王朝の終焉をとりあげて、その実態を解明することを目的として出発した。政治・経済の中心を占めた上下エジプトを避け、中エジプトのアコリスという一地方都市に視点を据えて、王朝終焉の実相を描き出そうとしたのである。その結果、王朝が終焉に向かいはじめる新王国時代末ないし第3中間期に入ると、この地方都市で、都市形成、手工業生産、交易、造墓がにわかに隆盛をみせる。それとともに、王朝の主神であったアモン・ラーにかわって、現世利益を付託する地方諸神が人びとの篤い信仰を集めるようになったことが知られた。これは都市中間層の台頭であり、王朝文化の大衆化を意味する。そうして、この社会的動向は末期王朝時代に継続したことが考古学的資料によって推知され、王朝がエジプト人の手から離れヘレニズム文化の到来を迎えてもなお、維持されたことが、石材加工関連の建築学、銘辞学の調査によって明らかにされた。この活発な人間活動は当該期におけるエジプト全般の傾向であり、ヘロドトス『歴史』が活写した前500年頃のエジプト都市ブバスティスにおける祭礼の熱狂と同調する。つまり、王朝の終焉や帝国の混迷が社会的危機を招いた漢王朝やローマ帝国の場合とは一線を画するエジプトモデルがこうして提示されるのである。 なお、手工業生産や石材加工や葬送・信仰などそれぞれの分野について、研究分担者や協力者によって多大な研究が蓄積され、公表された。多角的であることを掲げた本研究の成果として特記しておきたい。
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