研究課題/領域番号 |
15401024
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
前田 潮 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (40015897)
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研究分担者 |
池田 宏 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (20015986)
辻 誠一郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (20137186)
内山 幸子 日本学術振興会, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | オホーツク文化 / 鈴谷期 / ザーパドナヤ10文化 / サハリン新石器 / 続縄文文化 / カシュカレバグシュ遺跡 / 潟湖 / 海洋適応 |
研究概要 |
1、北サハリンカシュカレバグシュ遺跡において独自性の強い型式的特徴の櫛目文土器群を出土する住居址2軒を発掘したが、その特徴は六角形のプランを呈するオホーツク文化の住居と共通性を有するものだった。ロシア側研究者との検討によって北サハリンにおける未知の文化集団の存在を示す可能性のある新資料であるという認識に達した。 2、南サハリンのフィールドワークでは、サハリン新石器、続縄文期、鈴谷期の各時期の遺跡を踏査した。その結果サハリン新石器の無文平底土器の形状の分かる資料が得られ、型式論上続縄文文との関係をとらえる好資料が得られた。また、南部の文化と中部サハリンの「ザーパドナヤ10文化」との関わりが読み取れる資料がえられ、後者の「文化」が独立した中心を持って続縄文後半〜鈴谷期さらに十和田期初にわたる時期に南部の地域集団と並存したとする編年的関係にいっそう明確な方向性を築くことができた。 3、これらの知見を踏まえて紀元前後から数世紀の間にサハリン南部において続縄文文化と在地新石器文化の接触がなされ、さらに中部に中心を持つ「ザーパドナヤ10文化」がこれに関与して、新たに鈴谷式を指標とするオホーツク文化の成立が実現したという研究の見通しが得られた。 4、鈴谷期に見られる宗谷海峡周辺における外洋に突出した急峻な丘陵・段丘上に立地するグループとサハリン南部〜中部にわたって見られる潟湖沿岸低地に立地する汽水域資源利用に傾いたグループの差は前者が外洋性漁撈技術に長じた続縄文文化と後者がサハリンに発達する潟湖地形に適応した「ザーパドナヤ10文化」とそれぞれ交流の密度が強いという自然要因と歴史要因の複合の結果として位置づけられる展望を得た。
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