研究課題/領域番号 |
15401028
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | 東京家政学院大学 |
研究代表者 |
三宅 裕 東京家政学院大学, 人文学部, 助教授 (60261749)
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研究分担者 |
本郷 一美 総合研究大学院大学, 葉山高等研究センター, 助教授 (20303919)
常木 晃 筑波大学, 人文社会科学研究科, 教授 (70192648)
松本 建速 東海大学, 文学部, 助教授 (20408058)
津村 宏臣 同志社大学, 文化情報学部, 講師 (40376934)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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キーワード | 考古学 / トルコ / 新石器時代 / 古代の技術 / 土器 |
研究概要 |
西アジアにおけるパイロテクノロジー関連資料を収集する目的で、トルコ共和国において考古学調査を実施した。初年度の平成15年度は、調査対象とする遺跡を選定するために、トルコ南東部のディヤルバクル県において遺跡の踏査をおこなった。表面採集調査の結果、サラット・ジャーミー・ヤヌ遺跡が最も有望であると判断し、次年度からの調査に備えて遺跡の地形図の作成もおこなった。続く平成16年度から平成18年度までの3年間、サラット・ジャーミー・ヤヌ遺跡において発掘調査を実施した。その結果、本遺跡は土器新石器時代の前半に年代付けられる3つの時期が存在することが明らかになり、パイロテクノロジー関連の良好な資料も得ることができた。特に土器に関しては、これまで最古の土器群とされていたものが最上層から検出され、下層の土器群はそれに先行するものであることが明らかとなった。これにより、この地域の本来の出現期の土器の様相を明確に把握することができ、またそれに続く時期の土器生産の技術的な発展の状況も明らかにすることができた。出現期の土器は鉱物粒を多く混和する磨研土器であることが判明し、時期を経るにつれて植物繊維を混和する粗製土器へと変遷していく過程を明確に捉えることができた。出現期の土器群は煮沸に適した特徴を備えており、貯蔵を目的に土器が出現したとする従来の見解に変更を迫るものとなった。また、地理的にはアナトリアに位置するものの、土器の内容は一貫して北メソポタミアと関係が深いことも明らかになった。 このほか石灰焼成施設と考えられる遺構、彩色された石灰製のプラスター片も検出された。土器の様相から関係が深いことが判明した北メソポタミアでは、石灰製ではなく石膏製のプラスターが卓越することが知られており、相違が認められることは興味深い。銅については、銅鉱石であるマラカイト塊が出土したが、冶金術の証拠は明確にすることはできなかった。 こうした資料はまだ分析途上のものもあり、理化学的な分析の結果と併せて、発掘調査の報告書を出版し、成果を広く公表する予定である。
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