研究課題/領域番号 |
15401032
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
吉野 和子 (漆原 和子) 法政大学, 文学部, 教授 (00101329)
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研究分担者 |
森 和紀 日本大学, 文理学部, 教授 (60024494)
白坂 蕃 立教大学, 観光学部, 教授 (40014790)
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キーワード | 過放牧 / 移牧 / 逆移牧 / 土地荒廃 / チンドレル山地 / 準平原面 / カルパチア山脈 |
研究概要 |
ルーマニアにおける羊の移牧の時期、頭数、市場での羊の売買の実態が数量的に明らかになった。また自由経済のもと、チーズ価格に後押しされた単位面積当たりの頭数は革命前の約10倍に達していることがわかった。このことはプレカンブリア時代の硬い岩石の上の薄い土壌層を、容易に流出させることとなった。カルパチア山脈チンドレル山地では、聞き取りの結果、3段の準平原面を利用した垂直移牧の他、バナート平原への逆移牧も行なわれていることがわかった。1年間の降水量の観測をし、その間の土壌の移動、流出量を明らかにすることができた。その結果、地質、地形条件に加え、半乾燥地域にもかかわらず、一雨40mmを超える降雨があるなど、降雨強度も影響していることがわかった。また、ロマなどが河川での羊毛洗浄を行なうことが水質汚染を著しくしている実態も把握できた。このような急速な土壌侵食を抱えたこの地の過放牧の実態が明らかになったが、今後どのように土地のポテンシャルを維持していくかを検討する必要がある。 一方、スロベニアは革命後すでに羊の移牧は行なわれておらず、かつての移牧が行なわれていた高原は、農学部の羊の実験的放牧場に変わっており、草地を利用して新たな増収のあり方を模索する段階に入っている。また、牛の移牧は観光化した形で残っている。EU加盟に伴い牧畜はますます困難になると思われる。共産体制の崩壊後の期間はほぼ同じであるが、全く違う方向での牧畜での形が両国でみられた。
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