研究課題/領域番号 |
15401035
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
三尾 稔 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 助教授 (50242029)
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研究分担者 |
八木 祐子 宮城学院女子大学, 学芸学部, 助教授 (70212272)
小牧 幸代 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (20303901)
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キーワード | 南アジア / 都市 / 祭礼 / ナショナリズム / 社会変化 / 宗教 / 文化人類学 |
研究概要 |
今年度はプロジェクト最終年度にあたり、これまでの調査を発展継続するとともに研究会を通じ各自の研究成果を交換し、この科研による知見の分析と総合を行い今後の課題を展望した。三尾は17年9月から10月にグジャラート州を中心に調査を行い、ラージャスターン州でも補充的調査を行った。その結果明らかとなった祭礼組織と宗教ナショナリズム団体との複雑な関係に関する考察はOxford大学出版から出版される英文論文集に発表される。また経済改革とインド文化の変容に関する知見は千里文化財団から出版されたインド・ファッションに関する著作に、イスラーム聖者廟祭礼の変容を長期的な社会変動と関連づけて捉えた論文は『歴史学研究』の論文にまとめた。八木は8月末から9月に北インドで調査を実施し、祭礼と市民の意識の変化を究明するとともに農村での宗教伝統の変容にも関心を広げ論文を発表した。また小牧はムスリムの社会や宗教祭礼の変容に関する調査結果を博士論文に結実させる一方、インド北部のイスラーム聖者信仰に関する調査を行い、その知見をいくつかの論文にまとめた。インドのムスリムはイスラーム世界全体の変容からも深い影響を受けており、宗教実践の変容の様相はヒンドゥーとも微妙に異なっていることが明らかとなった。17年度はこれまで研究分担者であった中島岳志が米国への長期留学をしたため研究協力者となった他、従来同様東海大学講師小磯千尋、大阪樟蔭大学講師金谷美和、大阪外国語大学講師中谷純江が研究協力者として本研究課題に参加し、各自の調査地域での調査を継続しその成果を論文や著作にまとめた。特に中島がこの科研の成果も組み込んで発表したヒンドゥー・ナショナリズムに関する著作はアジア・太平洋研究賞を受賞するなど高い評価を得ている。研究会は17年の夏と冬に実施し、変容の方向性を同じくしつつもインド各地の社会的・文化的変異によって経済社会変動が祭礼のあり方に与える影響が多様になってくるメカニズムが明らかとなった。その成果は年度末に発行した研究成果報告論文集にまとめられた。
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