研究課題
本研究の目的は、インドネシアにおいて障害児教育分野の教育協力を推進するための方法及び方略を検討することであった。インドネシア教育省の発表では、障害のある児童生徒の就学率は約5%(5万人)であり、障害のある児童生徒の就学率がきわめて低い。特殊教育諸学校の大多数は私立学校であり、財団で運営されている。8月にバンドンのタルマサリ小学校を訪問し、障害のある児童生徒が健常の児童生徒と一緒に学習していることがわかった。タルマサリ小学校と盲学校で児童生徒にスポーツテストを実施した。9月には、バンドンの通常小学校で発達性協調運動障害について検査した。平成17年2月には、インドネシアにおける法整備に関する調査を実施した。以上のことから、学校間に格差があるばかりでなく、施設・設備も多様であること、教育環境に必ずしも恵まれていないが、財団の理事や校長、教員の教育に対する熱意は高いことがわかった。とくにわが国の指導案や研究授業に対して興味を示した。関係者との話し合いで、近い将来日本とインドネシアの教員が協働で研究授業を開きたいということになった。インドネシア教育省特殊教育局、インドネシア教育大学、西ジャワ教育委員会を訪れて意見交換をする中でも協働でわが国の研究授業方式を実施できる可能性がでてきた。その矢先に平成16年12月に文部科学省拠点システム構築事業(代表者:中田英雄)の一環として、バンドンの知的障害養護学校と聾学校で研究授業を開催した。研究授業の結果、教育協力モデル試案を作成することができた。この研究授業は2年間の科学研究費の研究活動が実って実現したといえる。平成16年9月に第42回日本特殊教育学会自主シンポジウムで成果を発表し、2005年5月に第6回発達性協調運動障害国際会議で成果を発表する。また、平成17年9月の第43回日本特殊教育学会自主シンポジウムで成果について協議する予定である。