研究課題/領域番号 |
15402008
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤井 勝 神戸大学, 文学部, 助教授 (20165343)
|
研究分担者 |
竹内 隆夫 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (40105747)
小林 一穂 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (20150253)
北原 淳 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30107916)
黒柳 晴夫 椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (80097691)
|
キーワード | 農村 / 地方都市 / 首都 / 兼業 / 移動 / 生活 / 文化 / 東アジア |
研究概要 |
本年度は、韓国、中国、タイ、インドネシアで、程度の差はあるが予備調査を実施した。調査予定の村落だけでなく、同じ地方都市と結びつく複数の周辺村落において聞き取り等を実施した。また補足的に日本および台湾に関する資料収集も行った。これらの調査・資料収集を通じて、以下のような知見を得ることができた。 農村から首都や大都市への人口の集中傾向は、調査した東アジア地域では引き続き存在している。グローバル化する現代社会の展開を反映している。その中で地方都市の存在意義が低下傾向を示すこともあるが(とくに韓国)、国の地方政策の後押しもあり、地方都市の発達はある程度みられる(とくにタイ)。一方、都市移動による農村人口の減少という展開は多少とも存在するが、その中身は兼業化の条件をふまえて検討される必要がある。 農村と地方都市の関係では、韓国の安東市やインドネシアのジョグジャカルタ市には良質の中等教育機関を多いため、周辺農村の中高生が集まる。とくに韓国では、子供の修学のため親子共ども地方都市に転出し、農村の高齢化が深刻である。大学進学時には首都等へ行くので人口定着は弱いが、文教地域として地方都市が地方文化の拠点になる。一方タイのコーンケーン市は、高等教育志向の相違のため、農村にとって修学より就業や娯楽の場としての役割が大きい。中国では、改革・開放政策により、農村と地方都市の関係の新展開が生じつつある。 農村住民が、首都と地方都市に対するもつ意識や言説については、さらに聞き取り調査を深める必要があるが、若年層を含めて、首都等に対する過度の「幻想」はなさそうである。と同時に、言説における首都と地方都市の差異化は農村の人々の間で進んでいる。韓国のように首都への求心力が強い社会ではとくにこの傾向は強い。次年度以降は、アンケート調査の実施を中心にしてこれらを数量的に把握し、分析を深めてゆく予定である。
|