研究課題/領域番号 |
15402015
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
飯田 文雄 神戸大学, 大学院法学研究科, 教授 (70184356)
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研究分担者 |
月村 太郎 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70163780)
網谷 龍介 明治学院大学, 国際学部, 助教授 (40251433)
渋谷 謙次郎 神戸大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (50346277)
辻 康夫 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (20197685)
津田 由美子 獨協大学, 法学部, 教授 (30247184)
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キーワード | 政治学 / 思想史 / 西洋史 / 多文化主義 / アイデンティティー / ポスト冷戦 / ロールズ / キムリッカ |
研究概要 |
(1)本年度はまず、これまでの本研究の内容全体を総括し、それに対して、国内・国外の代表的研究者からの批判を仰ぐため、7月に福岡で行われたIPSAに際して、本科研のメンバーを中心としたパネルを企画し、そこにカナダのアルバーター大学から、多文化主義の動向に詳しいDavid Kahane、Catherine Kellogg両教授をも招聘しながら議論を行った。その結果、1)少数派文化擁護のための具体的な政策に関しては、近年、その議論の深化とともに、その地域を越えた普遍性よりも、地域特有の固有性・偏差が顕在化しつつあり、その相克が問題化していること、2)とりわけ、アジア地域における少数派文化擁護論固有の問題として、少数派文化側それ自体の要求が不活発である場合が多く、この点で、今後、従来西洋社会の体験を中心に構成されてきた多文化主義理論の見直し・批判的検討が不可欠であること、等の重要な知見が得られた。 (2)更に本年度は、最終目標である、参加者全員執筆の単行書公刊のための作業として、研究会を催し、従来の各人の各国個別事例の分析を前提として、研究全体の分析枠組みとしてどのような可能性があるかを検討した。その結果、1)理論的には、今日の少数派文化擁護論活発化の主要因を成した、西洋社会における少数派文化擁護論の論点には、少数派文化擁護が惹起する正義の問題と、それが惹起する対話共同体の再構成の問題という、位相の異なる二つの問題群が存在すること、2)地域的には、今日の各国における少数派文化擁護論の特質は、リベラルな少数派文化擁護論の中心地である北米と、それから最も距離がある旧東欧圏、その中間形態としての欧州、という3地域に分類することにより、見通しの良い把握が可能であること、等の知見が得られた。
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