研究概要 |
二年計画の初年度に当たる今年度は,(1)研究会およびシンポジウムの開催,(2)各研究分担者の対象地域への出張という二つの方法によって研究を進めた. (1)研究会・シンポジウムの開催 2003年7月28日には,国内在住の研究代表者(渡邊)および研究分担者(滝田・加藤・小久保)が東京外国語大学に集まり,共同研究の問題意識,理論的・概念的枠組,方向性について意見を交換し,相互理解を深めた. 2004年2月10日には,笹島雅彦(日本国際問題研究所・米国),池内恵(アジア経済研究所・イラク),広瀬佳一(防衛大学・ポーランド)の三氏をパネリストに迎え,「イラク戦争をめぐる世界-日本の国際貢献」と題する公開シンポジウムを東京外国静大学海外事情研究所で開催した.同シンポジウムには100名近い参加者が集まり,イラク戦争をめぐる米欧関係について,活発な議論が交わされた. 2004年3月9日には,金子譲氏(防衛庁防衛研究所)を講師に迎え,研究会を開催した.同氏による「ヨーロッパの安全保障-2つの座標軸変化を中心に」という講演を受けて,ヨーロッパ共通防衛政策の進展にともなう米欧関係の変容を中心に,議論が行なわれた. (2)研究分担者による海外出張 今年度は,研究代表者の渡邊(米国)および研究分担者の滝田(米国),加藤(韓国・ドイツ),小久保(ベルギー・米国)が海外出張を行い,分担テーマに対する問題意識を深めるとともに,研究資料の収集および関係機関での聞き取り調査を行なった. 以上の活動を通じて,次の二点で当初期待された研究の成果が得られた.第一に,わが国では希少な安全保障分野での米欧協力体制について歴史的・理論的考察がなされた.第二に,この枠組みを踏まえて,アメリカの世界戦略というより広い視点から,アジア・ヨーロッパ両地域における米欧関係・日米関係の比較研究の基礎が築かれた.
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