研究課題
基盤研究(B)
平成17年度は前二年間の米国において収集された資料の分析及びそれに基づく報告書の執筆を行った。報告書の執筆に先立ち、8月に米国公文書館にて保坂、林が打合せを行い、9月16日および11月25日には沖縄県にて保坂、林、比嘉が打合せを行った。平成18年3月には、保坂廣志編『沖縄戦における日米の情報戦-暗号・心理作戦の研究-』(基盤研究B 海外学術調査)を研究実績報告書として刊行した(体裁はA4版、全236頁)。同報告書は二部構成となっており、第一部の論文編には、保坂廣志「沖縄戦での日米暗号戦」、林博史「沖縄戦における米軍心理作戦研究の課題」、比嘉要「沖縄戦における米軍の宣伝ビラの目的と効果」の三論文が収められ、続く第二部では資料編として、保坂廣志「米軍の沖縄暗号作戦報告書」「情報将校捕虜尋問調書」、林博史「米軍の心理戦に関するレポート」「沖縄戦における米軍による押収文書」、比嘉要「沖縄戦における米軍の宣伝ビラ」「米軍による対日宣伝ビラ」など、研究費補助金の助成によって収集された日本軍並びに米軍の沖縄戦関係資料が収録されている。ちなみに、「沖縄戦における日米の情報戦-暗号・心理戦争の研究-」を通じて以下のような知見がいえる。第一は、保坂が担当した暗号戦研究であるが、沖縄戦は近代暗号を駆使した総力戦であったことである。戦場では軍民混在し、疑心暗鬼の中スパイという言葉が戦場を支配したが、実際は米軍による日本軍暗号の傍受・解読がその原因にあったことが判明した。また、林は、米軍の沖縄心理戦にいたる過程を、上位組織の分析もふくめ、研究提言するとともに、問題提起している。さらに比嘉は、米軍の対沖縄プロパガンダの戦略・戦術に視点をあて、沖縄戦の展開や現物資料からそれをまとめきっている。3人の共同研究を通じ、沖縄戦研究の新たな分野の開拓がはかられたことと、その成果が確実に記されたと考えている。
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月刊地球と人権 No.264.
ページ: 1-7
Ibid., Faculty of Law and Letters University of the RYukyus Department of Human Science No.17
ページ: 231-270
琉球大学法文学部人間科学科紀要 第15号
ページ: 41-90
Human Science, Faculty of Law and Letters University of the Ryukyus Department of Human Science No.15
Monthly Local and Human rights No.264