現代中国における社会の自律性に関する学術調査

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15402036
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 静岡県立大学
• 研究代表者: 菱田 雅晴 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (00199001)
• 研究分担者: 園田 茂人 中央大学, 文学部, 教授 (10206683) ; 加藤 弘之 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (70152741) ; 天児 慧 早稲田大学, アジア太平洋研究科, 教授 (70150555) ; 石井 知章 明治大学, 商学部, 専任講師 (90350264) ; 大島 一二 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教授 (40194138)
• キーワード: 現代中国 / コーポラティズム / 社会的自律性 / 基層政治 / 社会階層 / 労働者組織 / 工会主席 / 問巻調査

研究概要

4カ年に亘る本研究が最終的に目指すものは、社会主義システムからの移行過程にある現代中国における「自律的な社会による国家への浸透プロセス」を主題的テーマとして、社会コーポラティズムの観点に拠り、新たな移行期社会発展モデルを構築することにあるが、計画初年度たる平成15年度においては、先ず、研究会組織(「現代中国社会コーポラティズム研究会」)を立ち上げ,月例研究会を開催した。各研究会における報告/討論テーマとして、「中国におけるコーポラティズムと労働組合の役割」、「国民性比較調査データから見た中国人・日本人」(鄭躍軍、総合地球環境学研究所)、「ネオ・コーポラティズム論の現在:先進諸国の比較政治分析から」、(桐谷仁、静岡大学)、「全国人民代表大会、政治協商会議組織」(瀋仁道、北京大学)等を取り上げ、社会コーポラティズム論のアプローチ,方法論の精緻化から、全人大、政協等の現実態に関する分析を進めた。
この研究会開催活動と共に、これまで蓄積された中国側研究者との学術交流ネットワークに依拠しつつ、二次に亘り、面接調査を主体とする現地派遣調査(北京)を行った。この対中派遣を通じ、社会の自律性を組織、人的構成等の資源配分あるいは社会意識の側面から把握すべきことが明らかとなったため、こうした実証データを蒐集することを目指し、中国労働関係学院(「中国工運学院」を改称)との間で、基層工会主席を対象とした問巻(=アンケート)調査(2000サンプル)を共同研究形態により実施することで合意し、「関于工会発展比較研究的協議合同書」を締結した(2003年12月)。この「協議合同書」に基づき、アンケート調査票の内容を最終確定し、対価支払い、蒐集データの利用等に関する共同研究作業実施の詳細計画を「メモランダム」として調印し、次年度のアンケート回収、分析作業の準備を行った。

研究成果

• [文献書誌] 菱田雅晴: "中国のアポリア"現代中国. 第78号(印刷中). (2004)
• [文献書誌] 菱田雅晴: "中国:政治的多元化の可能性"アクセス地域研究:途上国(岸川毅, 岩崎正洋編)(日本経済評論社). 151-174 (2004)
• [文献書誌] 菱田雅晴: "現代中国における階層分化 改革レースの勝者と敗者"現代中国研究. 第14号(印刷中). (2004)
• [文献書誌] 園田茂人: "中国駐在経験者が問う『日本』"論座. 6月号. 180-187 (2003)
• [文献書誌] 園田茂人: "日系企業から中国人従業員が流出する"エコノミスト. 6月17日号. 50-53 (2003)
• [文献書誌] 園田茂人: "ラーメン、中国へ行く 東アジアのグローバル化と食文化の変容"中央評論. 第246号. 18-25 (2003)
• [文献書誌] 大島一二, 後藤直世: "山西省における「退耕還林」政策の実施と農村経済環境保護と貧困農村"中国21. 第17号. 157-166 (2003)
• [文献書誌] 石井知章: "ウィットフォーゲルにおける国家と社会"明治大学教養論集. 第380号. 75-109 (2004)
• [文献書誌] 菱田雅晴, 園田茂人: "経済発展と社会変動"名古屋大学出版会(印刷中). (2004)
• [文献書誌] 天児 慧: "等身大の中国"勁草書房. 270 (2003)
• [文献書誌] 天児 慧: "中国とどう付き合うか"NHKブックス. 224 (2003)
• [文献書誌] 加藤弘之: "地域の発展"名古屋大学出版会. 239 (2003)
• [文献書誌] 加藤弘之, 上原一慶編著: "中国経済論"ミネルヴァ書房(印刷中). (2004)
• [文献書誌] 大島一二編著: "輸入野菜と中国農業"芦書房. 226 (2003)