今年度は、研究代表者高橋が5月中旬に『フィンランドに学ぶ教育と学力 未来への学力と日本の教育』への参加の機会を得て、担当章では北欧型福祉国家とくにフィンランドの福祉国家が果たす幅広い役割について執筆した。本書は7月末に明石書店から出版されすでに三版に至っている。高橋は6月8-9日には東京で研究資料収集を行い(EU日本代表等)、6月10-11日には日本社会福祉学会中国・四国支部年次大会での分科会の座長の1人として参加しつつ研究情報を収集した。6月16日には、愛知地球博で開催された北欧セミナーに参加し、環境問題への取り組みや北欧型福祉国家の動向について北欧の専門家たちの知見を得た。6月20-23日には、ソウル梨花女子大学で開催されたWomen's World Congressにおいて、武田宏子(シェフィールド大学講師)とK.ギフィン(ブラジル・国立オズワルド公衆衛生研究所教授)とともに、「健康・環境とリスク」と銘打ったワークショップを実施し研究成果を発表した。8月には高橋はフィンランド、ベルギー、イタリアにおいて海外調査を実施し、ベルギーではブリュッセルの日本代表部において本プロジェクトに関する福祉と環境政策についての研究資料・情報を得た。また、イタリアでは、ローマ大学のM.ヴィアネッロ教授から欧州における北欧型福祉国家の位置付けやEUの環境政策と福祉政策の連関について貴重な知見を得ることができた。フィンランドでは、高橋が研究資料の収集を行ったほか、研究分担者Mervioがクオピオ大学のJ.ヴオリ教授との共著で比較研究の視角から日本とフィンランドの福祉社会についての出版プロジェクトの草稿を完成させた(出版物の刊行は来年度の見込み)。10月には高橋が日本社会学会に参加しとくに環境社会学についての研究情報を得た。11月23-26日には、東京での研究資料収集および来年度執筆予定の出版プロジェクトについての打ち合せを出版社と行った。1月から3月にかけては、最終年度となる来年度の準備のために、関係者への連絡と収集した資料の分析を行った。
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