研究課題/領域番号 |
15402045
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
西川 泰夫 放送大学, 教養学部, 教授 (70053642)
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研究分担者 |
辻 敬一郎 中京大学, 心理学部, 教授 (20023591)
苧阪 直行 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20113136)
溝口 元 立正大学, 社会福祉学部, 教授 (80174051)
佐藤 達哉 立命館大学, 文学部, 助教授 (90215806)
鈴木 祐子 東北女子短期大学, 助教授 (70328657)
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キーワード | 日本の心理学史 / 海外学術調査 / 心理学史研究の位置 / ヴント式クロノグラフ / 元良勇次郎の学位論文 / 研究財団と心理学研究支援 / 京都実験心理学セミナー / 旧台北帝国大学心理学研究室 |
研究概要 |
当研究計画の基本目的は、「日本の現代心理学(科学的心理学、すなわち実験心理学)の形成に関わる学問史的研究」を遂行するために欠かせない次の二つの事項に取り組むことである。第一に、「心理学の立ち上げから定着、拡大にいたる経緯に関する一次資料、古文書などの再調査、資料収集を行うこと」、第二に、「心理学の立ち上げに欠かせなかった当時の歴史的実験機器の使途を始め構造とその機能をめぐる考証、分析を行うこと」である。この目的を達成するためには、現状では、限られた国内の大学心理学研究室を除き、海外の心理学史アーカイブや図書館などに収集保管された史資料、歴史的実験機器類の現地での調査資料収集が欠かせない。むしろ、そのほとんどは、海外にあるアーカイブスなどでの調査資料収集が、決定的に欠かせない。このことは、わが国でも心理学史アーカイブの設置などの新たな論点を提起するが、それ以前にそもそも当研究計画にあるような、基本的史資料や機器類の調査収集分析と史資料の整理整頓がなければならないことは論を待たない。また、当研究計画の遂行上、海外の専門家によるレビューを受け相互に意見交換、討議を行うこと、さらには国内の心理学会大会は言うまでもなく、心理学史関係の国際会議での研究成果の公表なども不可欠である。こうした意図のもとで、3年間にわたる当研究計画の最終年度におけるとりまとめの準備として、日本心理学会大会において自主ワークショップ(WS)を開催した。加え、西川(代表)、ならびに大山正、荒川歩(平成17年度研究協力者)の手で、台湾大学(旧台北帝国大学を前身とする)心理学系に保管されている旧心理学研究室で使用した当時の実験機器などの現地での調査考証を行い、当時の実験状況の分析を試みた。さらに同大学図書館に保管された当時の心理学関係の活動状況を知る研究論文、当時の担当者、講義科目などの収集分析を試みた。この海外学術調査実施に当たって、台湾大学心理学系主任梁庚辰(Liag, Keng-Chen)教授をはじめ関係教授、同大学図書館司書、また高雄医科大学心理学系櫻井正二郎副教授から専門的知識の提供等の援助を受けた。今年度の研究実績概要を、上記のWS発表テーマに即してまとめると、以下の通りである。 西川泰夫(研究組織代表者):WS(日本の心理学史に関わる海外資料収集調査研究)・企画・立案・総合司会・討論。 佐藤達哉(研究分担者):WS司会・資料保存の観点からの討論。高砂美樹(同左):比較心理学の観点からの討論。 辻敬一郎(同上):心理学史研究・教育に及ぼす学問状況と外的要因の影響。 苧阪直行(同上):一万分の一秒への挑戦-19世紀末におけるヴント式クロノグラフの誕生-。 鈴木祐子(同上):元良勇次郎の学位論文(Exchange,ジョンズ・ホプキンズ大学へ提出)のテキスト化、内容分析。 溝口元(同上):科学史の観点から心理学史研究への示唆・提言、ならびに発表概要への総合的討論。
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