研究概要 |
東北アジアの,とりわけ日本,韓国,台湾に共通しているのは,第二次世界大戦後に農地改革を実施し,広範な自作農を前提とする家族経営を前提に出発したことだ。また,中国においても土地改革を実施し,形式的には自作農を創出した。しかしその直後,人民公社に移行したが,1979年以後の生産責任制の導入により家族経営が基本となった。こうした東北アジアの家族農業経営もグローバリゼーションという妖怪により危機に瀕している。 中国は,生産責任制による土地使用権の実態が,「農村部」と「沿岸部」ではどのような違いをもたらしているかを検討した。また,「土地」に対する「農村部」と「沿岸部」地域での意識の違いを明らかにした。 以上のことから,多様な家族農業経営が存在することを示し,その危機的な状況にある東北アジアの小農を前提にした「共通農業政策」の必要性を提起した。その場合の「共通農業政策」は,WTO体制の実質的な補完としてのFTAとは違う,小農=家族農業経営の存在を前提にしたものである必要性を述べた。
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