研究課題/領域番号 |
15402051
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
淡路 和則 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (90201904)
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研究分担者 |
中原 准一 酪農学園大学, 環境システム学部, 教授 (60048121)
佐々木 市夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70125384)
甲斐 諭 九州大学, 大学院農学研究院, 教授 (70038313)
福田 晋 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (40183925)
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キーワード | バイオマス / 動物性副産物 / 食品残さの飼料化 / バイオマスエネルギー / バイオガス / 耕畜連携 / 食の安全・安心 / 循環経済 |
研究概要 |
EUのなかでも厨芥の飼料化が特例として期限付きで認められているドイツでは、食品残さ全体がバイオガス化の方向に向かう流れが益々強まっていることが確認された。食の安全性確保のために動物性副産物の利用が厳しく制限されるようになったことから、食品残さを利用した飼料化事業を行っている事業者は、エネルギー化への商品シフトを行うか、あるいは許容される原料で商品を限定するという対応をとっていることが明らかとなった。後者では、飼料規制以前は、多種多様な食品残さを幅広く受け入れ、種類豊富な飼料の商品ライアンアップをもつことが成功の要因であったが、飼料規制以降は麦類、カカオマスの植物系の良質な原料を厳選し、高級商品に供給を絞っていた。食品残さ利用は、低価格をメインに据えた一般品から利用残さを厳選した付加価値差別化の展開になっていることが把握できた。 飼料化に向かない食品残さは、堆肥化ではなくエネルギー化に向かっているが、それにはバイオマスエネルギーを推進するエネルギー政策が大きく関わっている。つまり、食の安全性を確保するために、BSE等のリスクを考慮して食品残さをフードチェーンから排除する一方で、バイオマスエネルギー政策がそれらを受け入れる条件を形成しているとみることができる。食品安全政策、リサイクル推進政策、飼料安全政策、バイオマスエネルギー政策が相互に連関して、バイオマスのカスケード利用を形成させていることが明らかになった。 バイオマスエネルギー化に向かう流れが加速するなかで、バイオガスプラントに家畜糞尿以外にも多くの食品残さ等が集中することによって窒素等の養分過多が増幅され、適正な土壌還元が難しくなる問題が深刻化していることも指摘された。
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