研究課題/領域番号 |
15403003
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 智 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80182624)
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研究分担者 |
池田 正史 理化学研究所, 計算科学技術推進室, 基礎科学特別研究員 (60344024)
岡 朋治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10291056)
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キーワード | 星形成 / サブミリ波 / 星間分子雲 / 銀河系 / 電波望遠鏡 / 中性炭素原子 |
研究概要 |
本研究では、可搬型18cmサブミリ波望遠鏡をチリ共和国のアタカマ砂漢の高地(標高4800m)に持ち込み、中性炭素原子のサブミリ波輝線(492GHz)の銀河面広域観測を行う。その結果を一酸化炭素分子輝線の分布と比較することにより、銀河系スケールでの分子雲形成を探求することを目的としている。 今年度は9月から10月にかけての約1ヶ月の間、可搬型18cmサブミリ波望遠鏡をアタカマ砂漢に持ち込み、観測を実施した。昨年までの観測に比べ、超伝導受信機の感度を大幅に高めることができたこと、望遠鏡の駆動制御が改良され効率化したことなどにより、運用効率が総合的に大きく向上した。そのおかげで、中性炭素原子のサブミリ波輝線で銀経300度から355度の範囲にわたって銀河面を1度ごとに観測し、各々の点で質のよいスペクトルの取得に成功した。これにより、中性炭素原子の銀河系スケールでの分布を初めて明らかにすることができた。位置-速度図上で見て、中性炭素原子の分布はコロンビア大学によるサーベイ観測で得られている一酸化炭素の分布と大変良く対応していることがわかった。しかし、その強度については違いが見られており、銀河系スケールの分子雲形成との関係を反映しているものと考えられる。以上の結果は銀河系における分子雲の形成、進化を理解する上で、可搬型18cmサブミリ波望遠鏡というユニークな観測装置が大変有効であることを実証したものと言える。
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