研究課題
地震に伴う電磁気現象の総合的な研究を続けているが、本年度にて重要点に実施した事項を記す。1.日本国内での観測継続とデータ収集・解析日本国内での多くの観測項目のうち重要なものとして、(1)ULF放射と(2)電離層擾乱を取り上げる。本年も関東ULFネットワーク(伊豆、千葉、柿岡、秩父、松代)によるULF放射の多点観測を継続し、良質のデータを取得している。残念なことは、新潟中越地震の際100km以下の距離にある松代でのULF観測がパソコンの不調により欠測であったことである。同様に、国内での7観測点(母子里、調布、千葉館山、清水、春日井、舞鶴、高知)でのVLF観測(電離層擾乱)に関しても、二、三の観測点にて観測不調であったが、それらを整備し、良質の連続データを得ている、特に、紀伊沖地震、新潟地震に対しては明瞭な前兆的電離層擾乱が検出されている。即ち、高知-JJY(福島)パスにて各々の地震の1〜2週間前に電離層擾乱が検出されている。我々が有する多パスでの伝搬異常から電離層擾乱の特性(空間的、時間的)明らかにしている。この結果は昨年12月のAGU総会にて招待講演として発表し、注目された。事例数の増加により、統計的処理も可能となっている段階まで来ている。2.イタリア、ギリシャ、台湾でのVLF観測とデータ解析イタリア国バリ大学、ギリシャ国クレタ島でのVLF観測(電離層擾乱)は順調に進み、良質のデータが蓄積されている。他方、台湾国内でのVLF観測は以前の場所が雑音が多いことから新しい場所へ移設し、観測が再開されている。欧州では他の地上観測(地電流、ULF放射、地球化学諸量)との連携をスタートしている。台湾においてはより広い分野にわたる協力がスタートしている。3.地圏・大気圏・電離圏結合の解明2004年6月末に仏国の地震電磁気専用衛星(DEMETER)が打ち上げられた。衛星上での波動、プラズマ等の物理量の観測と我々の日本国内での密度の高い地上観測との連携がスタートしている。これは地圏・大気圏・電離圏結合機構の解明に大きく貢献する可能性がある。一例として、新潟地震に伴う地上の衛星データの比較を取り挙げている。地上からの電離層擾乱観測、電波観測と衛星上でのプラズマ、波動観測との比較を開始している。
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Phys.Chem.Earth 29
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