研究課題/領域番号 |
15403013
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
久田 健一郎 筑波大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (50156585)
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研究分担者 |
荒井 章司 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (20107684)
上野 勝美 福岡大学, 理学部, 助教授 (90241786)
鎌田 祥仁 山口大学, 時間学研究所, 助教授 (30294622)
原 英俊 産業技術総合研究所, 地球科学情報研究部門, 研究員 (60357811)
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キーワード | 縫合線 / 蛇紋岩 / オフィオライト / アンモナイト / チャート / タイ / ラオス / インドシナ |
研究概要 |
今年度は2回の海外学術調査を実施した。第1回目は4月28から5月8日で、久田、原、上野、鎌田のほか、京都大学大学院研究員宇野幸治博士(古地磁気学)、秋吉台博物館藤川(古生物学)の調査協力を得て実施した。また第2回目は2月17日から21日で、久田、荒井のほか、秋吉台博物館藤川博士の調査協力を得て実施した。第1回目の調査はタイ国北東部ロエー地域・ナン地域を2班に、同じく第2回目もロエー地域を2班に分かれて行動した。これは、古生物関係と構造・岩石関係に分かれて調査を行うことで調査の効率化を図るためであった。今年度の調査をロエー地域に絞ったのは、本地域がラオスとタイ国の国境地域に位置しており、平成15年度、16年度に実施したラオス調査の結果との整合性を確認することであった。古生物調査班は、2回の調査を通して、ペルム紀のチャートから放散虫化石およびアンモナイト化石の産出層準を広域に確認することができた。従来炭酸塩岩よりアンモナイト産出が知られていたが、今回その炭酸塩岩がチャート中に挟在されること、そのチャートから放散虫化石の産出を確認するとともに、両化石群集のクロスチェックにより、精度の高い対比が可能となった。またこのチャートが、深海チャートとは異なり、炭酸塩補償深度以浅であることが確認できた。また構造・岩石班は、南北に続くロエー縫合線(インドシナ地塊とスコタイ帯との境界)の構成岩石、変成岩や蛇紋岩等の露頭観察と採集を行った。特に蛇紋岩とされた岩石から、新鮮なハルツバーガイトや堆積性と思われる蛇紋岩礫岩・砂岩の産出を確認した。これらの岩石は、蛇紋岩の起源や蛇紋岩の定置機構を推定する上で重要である。またこの蛇紋岩は、その西側に分布する玄武岩やデボン系チャートとともにオフィオライトを形成していたことが考えられ、今後玄武岩の化学組成、チャートの詳細な年代決定、かんらん岩の岩石学的検討が進められる予定である。
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