研究課題/領域番号 |
15404003
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
環境影響評価・環境政策
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
冨安 卓滋 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (60217552)
|
研究分担者 |
松山 明人 国立水俣病総合研究センター, 疫学研究部, 室長 (00393463)
井村 隆介 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (40284864)
宮本 旬子 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (40244222)
大木 公彦 鹿児島大学, 総合研究博物館, 教授 (90041235)
穴澤 活郎 鹿児島大学, 理学部, 助手 (90325762)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
キーワード | 水銀 / 鉱山 / スペシエーション / 河川水 / 底質 / 土壌 / 国際研究協力 / スロベニア |
研究概要 |
イドリヤ川では鉱山地域周辺において、無機水銀の濃度は、鉱山からの距離に伴って減少するが、メチル水銀濃度は、流下に伴い一度上昇した後に低下することが明らかとなった。また、河川底質からの溶出実験により、河川水と底質を一緒に保存すると水中の総水銀濃度は数倍になる一方で、メチル水銀濃度は数百倍にまで上昇する現象が見られた。これは、河川水中メチル水銀の起源として、底質が重要な役割を担うことを示唆するものであった。また、周辺地域への水銀の拡散状況を調べるために、河川底質、川岸土壌、草原土壌、森林土壌表層中の水銀濃度を測定した結果、水銀鉱山に最も近い地点では、河川底質中の総水銀濃度が最も高かったが、下流地点では、草原土壌の総水銀濃度が最も高く、また、メチル水銀濃度は、川から離れるに連れて高くなる傾向が見られた。河川底質、周辺土壌に関して、蛍光X線分析をおこなった結果、河川沿岸土壌、周辺草原土壌は、森林土壌と河川底質の混合層として存在することが明らかとなってきている。これらをふまえて、今年度は水銀の周辺地域への拡散における川による運搬の影響、また、水銀の化学形を明らかにするために、水銀鉱山付近とその約2km下流の2地点において、川岸から山へ向かって約20mおきに各4点、採土器を用いて土壌を柱状に採取した。採取した試料は柱状図を記載し、層ごとに切り分け、石、根などを取り除いた後、チャック付きビニール袋に保存し日本に持ち帰った。現在下流地点の総水銀濃度の測定が終了、水平方向では川岸から2点目に最高水銀濃度が観察され、また、鉛直方向には層毎に大きく水銀濃度が変動することが確認された。これらは、河川の氾濫によって運搬された水銀汚染底質の堆積によるものと考えられる。
|