研究概要 |
本研究の目的は、インド人口の70%以上が暮らす農村地域においてエネルギー源の確保を行いながらも、植生の破壊あるいは砂漠化などの様々な環境問題を防ぐための技術的方策を探ることにある。これらの地域では、これまでにもエネルギー源の確保あるいはその効率化の重要性が認識され、いくつかの実行計画が立案・実施されてきたが、実効が上がったとはいえないと言うのが実情である。 そこでまず本研究ではまずBihar PrefectureのMuzaffarpurにある,最下層カーストが40%(6400世帯)を占めるBochahan地区内の、全300世帯(平均5人家族)の9割が年収入5万円を切る最貧層であるPunarbara村で、農村の乾燥化、荒漠化の程度とその修復の可能性について調査した。その結果、当該地域内で、果樹等の高付加価値製品が得られると期待される樹種を中心とする植樹を行い生態系を保全するとともに、森林余剰生産物からバイオガスプラントを用いてバイオガスを生成させこれをエネルギー源として供給するというシステムが適するものとの結論を得た。これに基づき、当該区域内の約2haの土地に植林を行った。一方、Punarbara村の家事用エネルギー源は、そのエネルギー消費の大部分を占め、これには、家畜糞などの他,森林伐採による薪も用いられる。そこで、植樹から得られる過剰生産分をガス化するためのバイオガスプラントを現地に設置した。 植樹の生成速度成長過程(樹高、胸高直径、枝も含む)の測定などは農民に依頼して行っており、これらの過程が、農民にとって植林が自らの生活レベル向上に寄与するであろうことを予感される結果となっており、実際この地域から都市への移行が最近止まっている。今後は、これらの調査を現地農民と継続しながら、肥料の農地還元の可能性、科学的効果検証などを並行して進めることとなる。
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