研究概要 |
研究計画の各項目について以下のような研究を行った. (1)土砂動態に及ぼす自然的・人的影響 ブランタス川における洪水時の濁度の観測を継続して行い,クルー火山噴火後同じ洪水流量に対して濁度が減少していたが,最近増加の傾向にある.これは,森林の農地化や河川における砂利採取が影響しているものと考えられる.もう一つのモデル流域であるプロゴ川流域については,現地調査を行い,砂利採取が極端な河床低下,河床材料の粗粒化,河口地形の変化の原因となっていることを明らかにした. (2)火山流域における土砂生産 昨年に引き続きスメル火山流域で土石流の観測等を実施した.土砂流出変化の時定数と火山の種類や噴火活動,植生変化との関係を明らかにするためには,さらなる観測調査が必要である. (3)降水および土砂流出の実態とモデル化 レスチ川流域において,降雨量,土壌侵食量,河川水の濁度の観測を行い,主に農地からの土砂流出の実態について検討した.その結果,農地からの侵食は雨季の初期に多くなることが観測された.これは,雨季の初期はまだ植生が回復していないことによるものと思われる. (4)ブランタス川の土砂動態および河川環境 プロゴ川流域における極端な河床材料の粗粒化と河道の固定化は生物環境に大きな影響を与えている.そこで,河床材料の空隙を評価するモデルを開発し,河床変動と河床材料の空隙の関係を検討した.この結果,アーマーコート化に伴う空隙率や空隙のスケールの増加や細粒土砂の供給による空隙率の減少と空隙のスケールの減少が解析できるようになった.
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