研究概要 |
東部ジャワのブランタス川流域の総合的土砂管理に有用となる情報を現地調査,現地観測,およびシミュレーションにより検討した.まず,土砂動態に及ぼす自然的影響に関してはクルー火山の噴火,人的影響については砂利採取および森林開発に着目した.解析の結果,1994年の噴火後,支川から土砂が急激に流入し,河床上昇,河床材料の細粒化が起こったが,このときの土砂流入条件を河床変動の逆解析から推定し,生産土砂の粒度分布と本川合流点付近の支川における水理条件からほぼ算定できることがわかった.噴火後の河床上昇の傾向は長続きせず,河床変動はすぐに低下傾向に変わり,河床材料の粗粒化も進んだ.本川での砂利採取量の縦断分布と河床変動量を比較した結果,この河床低下は砂利採取の影響が強いことが推察された.また,支川からの土砂流入もほとんどない状態が続くことも現地調査,河床変動シミュレーションからわかった.洪水中の浮遊物質濃度と流量の関係は流域における土砂生産の状況をよく反映するが,これについて本川や支川のレスチ川で詳細に調べられた.本川での観測結果から,噴火直後から急激に土砂生産が抑制されている状況が示されたが,最近のデータでは再び土砂生産が活発化していることが示唆され,これは最近森林開発や砂利採取が活発になってきていることを反映しているのではないかと推察された.レスチ川での観測結果らは,土砂生産は雨季の初期にとくに大きいことが示された.これは,この時期に雨が多くなり始めるとともに,耕作によって農地が撹乱されるため,土砂が流出しやすい状況になっているためである.また,今年度はプロゴ川も試験流域に加えて,火山噴火による土砂生産,砂防事業,砂利採取による土砂のアンバランスが河床低下や河口地形の変化に与える影響について調査し,次の研究へのステップとした.
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