研究課題/領域番号 |
15404019
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
島岡 隆行 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80202109)
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研究分担者 |
中山 裕文 九州大学, 工学研究院, 助手 (60325511)
崎田 省吾 九州大学, 工学研究院, 学術研究員
周 国云 西日本工業大学, 環境都市デザイン工学科, 助教授 (50322293)
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キーワード | 廃棄物処分場 / モニタリング / 安定化 / リモートセンシング |
研究概要 |
廃棄物埋立地における安定化を評価する指標として、埋立ガス濃度、浸出水の水質・温度等が用いられる。これらの指標は埋立地内の特定の地点において測定される。しかし、廃棄物埋立地内部の状況は場所によって大きく異なるため、数地点から得られた情報のみでは、安定化の状況を正しく評価できない恐れがある。特に、数百haもの広大な面積を有するアジアメガシティの大規模埋立地の全体的な状況を数地点の観測だけ評価することは不十分といえる。このような問題を解決する一つの方法として、地表の状況を面的に観測できる衛星リモートセンシングが考えられる。ただし、衛星から前述した安定化指標を直接観測することはできない。そこで、衛星で観測可能な項目である「植生の状況」と、安定化指標との関連性を把握し、この関係を用いて衛星から間接的に埋立地の安定化状況を推測することを試みた。本年は、中国の上海市、南昌市、深セン市を対象に、現地調査を行った。具体的には、埋立完了後、時間の経過とともに植物の種類や分布がどのように変化していくかを調査し、また、植物の生育に影響すると考えられる覆土の性状や埋立廃棄物層内のガス組成について調査した。 調査結果より、埋立て完了からの経過時間が異なる区画において、植物の種組成や分布状況等が異なっていた。これは遷移等の時間的要因によるところが大きいと考えられるが、覆土分析結果より、同時期に埋立てが完了した区画の中でも、含水比や塩類濃度等の物理的、化学的要因により、植物の生育状況に差異がみられた。また、埋立完了からの経過年数と覆土表面の被植率の関連性について、以下のような調査結果が得られた。埋立終了後、植物はまず、覆土がある程度厚い箇所を選好し根付く。その場所では、被植に伴い覆土の水分含量が増加し、温度が低下する。また、透気性が高いため、大気-埋立廃棄物層間のガス交換により地中の埋立ガスは排除されやすく、酸素の進入により廃棄物層での安定化が促進されることが考えられた。
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