研究課題/領域番号 |
15404019
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
島岡 隆行 九州大学, 工学研究院, 教授 (80202109)
|
研究分担者 |
中山 裕文 九州大学, 工学研究院, 助手 (60325511)
崎田 省吾 独立行政法人国立環境研究所, 循環型社会形成推進, 廃棄物研究センター・NIESポスドクフェロー (80398099)
周 国云 西日本工業大学, 環境都市デザイン工学科, 助教授 (50322293)
|
キーワード | 最終処分場 / モニタリング / 安定化 / 植生 / リモートセンシング |
研究概要 |
中国上海市の老港廃棄物処分場を対象とし、植物の生育状況や植物種等に関する情報と、埋立廃棄物および覆土の物理・化学的性状等を分析することにより、植生状況と埋立廃棄物の安定化との関連性を把握した。 1.覆土の性状 三相割合については、被植地の方が裸地に比べて、若干液相率が大きい傾向があったものの、植生の有無に関わらず、土粒子部分である固相率には大きな違いは見られなかった。粒度分布についても、すべての調査地点で、植生の有無によらずほぼ同様の傾向を示した。裸地の方が被植地と比べて若干透水性が大きかった。覆土の化学性状として、土壌pHについては、植生の有無によらず、ほぼ8.0〜8.5程度のアルカリ性であった。電気伝導度については、裸地、被植地いずれの値も一般的な作物の塩類障害の目安である2mS/cm以下であった。以上より、今回の調査結果からは、植生の有無に及ぼす覆土の物理・化学的性状の影響はみられなかった。 2.埋立層内部のガス濃度 被植地と比べて、裸地の方が廃棄物層内でのCH4、CO2のガス濃度が高く、特に、CH4濃度については、被植地と裸地との間に3倍以上の差がみられた。裸地直下の廃棄物層の方が被植地直下と比較して嫌気的雰囲気になっており、有機性廃棄物の嫌気性分解が行われていると推測された。一方で、被植地では、植物根の影響等により通気性が高まり、有機性廃棄物が分解されやすい好気的雰囲気になっていたため、廃棄物の分解が裸地と比べて早く進行し、埋立ガス濃度が低かったと推測された。 3.埋立廃棄物の性状 裸地では被植地に比較して強熱減量が高く、場所によっては77%と大きい値を示した。また、裸地のC/N比や有機酸およびTOC濃度は、被植地と比べて高い傾向にあった。埋立廃棄物の含水比と強熱減量との間には、正の相関(R=0.93)が見られ、裸地の方が被植地に比べて覆土が薄いことから、廃棄物層に浸入する雨水が多く、廃棄物が湿潤しているために嫌気状態になっていると考えられた。その結果、有機性廃棄物の分解が遅延していると推測された。
|