本研究では、EUにおける統一的な規制の中で、各国で異なる対応を行い、変化している建築解体工事の実態を明らかにすることを目的としている。この成果によって、同じ廃棄物規制によって、どのように廃棄物処理の方法が変化するのか、それに対応して建築解体工事がどの様に変化するのかを、先進国であるEUの実態から分析することにより、今後の日本における展開について提案することが可能となる。 平成15年度は、まず、国内の解体状況を把握し、解体工事における問題点を抽出した。 これに対して、海外での廃棄物規制及び廃棄物処理の実態調査実施と解体工事の調査をEU3カ国で実施した。 イギリス、フランス、ドイツ、のそれぞれの国で、解体に関わるエンジニアリング組織、業界団体へのヒアリングを実施した。また、関連する資料を持ち帰った。ヒアリングの内容は、各国バラバラだが、充実した資料を入手したので一部翻訳した。また、来年度も継続して翻訳作業を行う。 さらに、これら3カ国において、解体現場調査をそれぞれ1カ所づつ実施した。また、解体業者に対するヒアリング調査も行った。 今年度の知見としては、解体工事の実態については日本とそれほど差はなく、廃棄物規制に関しては、フランスではむしろ日本より規制が甘かった。しかし、それぞれ有害物質に対する規制が厳しく、これが解体工事の初期段階での調査や有害物除去工事に時間をかけている点が大きく異なっていた。
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