研究概要 |
本研究は,中国沿岸で腐食モニタリング,鋼材の曝露試験,環境汚染因子のモニタリングを連続的に継続して行い,腐食速度・腐食反応機構と環境因子(気象因子と汚染因子)の関係と防食設計の指針を立てる基礎データ蓄積するとともに,中国南部および東南アジアで見られる熱帯性の海浜の汚染海水中における微生物が関与した腐食加速現象の特性と機構を明らかにしようとするものである。 本年度は,中国科学院海洋研究所と共同で海洋研究所敷地内および黄海沿岸の石油掘削リグに腐食モニターを設置し,海洋研究所(青島)から携帯電話回線による遠隔データ収集・制御システムを構築するために,機器の改良とデータ収集の試験を行った。国内と中国との携帯電話システムの相違から通信不能になる問題が生じ,次年度の本格設置に向けてデータ収集・通信システムの抜本的な変更を検討する必要が生じた。 海浜大気腐食機構の解明のために,実験室で各種の市販耐候性鋼板について実験室内での腐食モニタリング試験を継続し,曝露試験用のプローブを開発した。長期間の海浜環境での試験に耐えられるように,大型試験片についてもプローブの設計・試作を行った。 微生物腐食に関しては,硫酸塩還元バクテリアおよび鉄酸化バクテリアについて,生物活性を低下させる効果の高いAgを含むステンレス鋼から溶出するAg+イオンの影響を調べ,その効果がある程度確認されたが,他のイオンについては顕著な差異は現れなかった。
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