研究概要 |
海洋・海浜鋼構造物の腐食モニタリングについては,これまでに中国にモニタリング装置6台を設置し予備的な試験を続けてきたが,本格的にデータを収集できる見込みがついたため,海洋研究所(青島市),臨海試験所(山東省),勝利油田(山東省黄海沿岸)に4台を設置し,設置機関との交渉が済み次第,来年度はじめに広東省,海南島に設置の予定である。なお,当初予定した携帯電話によるデータの収集は,電話システムが異なるため実施できなくなったため,装置を改造してデータを収録したメモリーカードを定期的に回収する方式で実施することにした。モニタリングのプローブ電極として,炭素鋼,耐候性鋼,海浜用耐候性鋼,低合金鋼,ステンレス鋼の他,物質・材料研究機構で開発された極微細粒鋼2種類も使用し,ほぼ1年間の腐食速度の推移を計測する。プローブ形状に関して,平板型と同心円型について実験室試験を重ねた結果,同心円型の方が広い湿度範囲での計測に適していることがわかったことから,実際の曝露には同心円型のプローブを使用した。 これまでに現地で得られたデータは,中国科学院海洋研究所にいったん集められ,インターネットによって当研究室に送られ解析する。 微生物誘起腐食(MIC)に関しては,中国沿岸での原因菌の採取ができていないが,国内でのいくつかの硫酸塩還元菌,鉄酸化菌などについての実験と,いわゆる抗菌ステンレス鋼として市販されているAgの効果について実験した。抗菌ステンレス鋼の効果は大腸菌等に関してはある程度認められたが,MICの原因となる細菌類については明確には現われなかった。
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